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外国人労働問題


2000年05月13日 外国人労働問題 その4
1999年11月06日 アメリカへの短期農業労務者の派遣
1999年10月21日 技術協力時代に考えていたこと
1999年09月30日 ボーダーレス時代と人の流れ

 1 はじめに

 失業問題が深刻になっている今どき、とんでもない話と 映るだろうが,それを承知で敢えてこんな提言をするには 訳がある。

 国の生活水準が上がるに従って3Kのような仕事が敬遠 され気味になるのは、水が低きに流れるのと同じで、至極 当然のことだ。

 3K部門の人手不足と、その空白を埋めるための外国人 労働力への需要は、経済の好不況による波はあっても、先 進工業国ではこれからも底流として存在し続けるだろう。

 物と違って人の場合、経済の波に合わせての調整を安易 に考え得ないとすれば、外国人労働力の許容限度は、経済 不況のドン底を目安に設定するのが妥当と思われる。

 それだけでない。3K忌避の風潮が失業者層の中にまで 蔓延し、3K部門の外人依存度が100%に近い 数値で定着し、常識化するようにでもなると、事は経済を 越えて,国民の気風、国の体質、にかかわる高度に政治的 な問題に発展する。

 それくらいまでを視野に入れて考えると、外国人労働力 導入の問題は、むしろ失業が深刻になっている今のような 時期にじっくり考えておくのが賢明で、好況時、人手不足 のさ中にあわてて考えたのでは間違いを起こし易い。

 2 ボーダーレス時代と人の流れ

 物も、カネも、そしてルールまで、ボーダーレスの流れ はすべてを巻き込む勢いである。

 人についてもそれを当然視する意見が花盛りで、さなき だに国へのアレルギーの強かった日本で、国の影は益々薄 くなって行くかに見えた。

 しかし国は、そう簡単に消えられては困るのである。

 広い意味で気心の合い易い素地が存在し、「いいなあ」と いう感じから「おかしさ」まで、巧まずして言っていること、 思っていることが伝わるような雰囲気。例を挙げればそのよ うな、人間生活にとって、普段は気づかないが大切なものを, 国は下支えしてきたのである。

 日本のような自然国家では特にそういうことが言えそうに 思える。国際化を金科玉条とする風潮は今も盛んだが、いくら何 でも国際化それ自体が目的というわけではあるまい。

 目的はあくまで、今のような複雑多岐にわたる世の中での、 トータルにいいバランスの取れた「住み易い」環境設定では ないのか。グループ作りと言っていいのかも知れない。

 家を消しさえすれば個人が自由で幸せになるかと思ったが、 結果は必ずしもそうではなかったように、国際化も浮かれ過 ぎて、国の存在意義を見誤ったり見失ったりすると,取り返 しのつかないことになる。

 人の出入りを自由化している中に、例えば極端な話だが、 人口12億人の中国からその1%が流入したとしてそ の数は1000万人以上、公用語に中国語を加えよという声が出始 めても不思議ではない。

 日本は、自然でくつろいだ日本の味を大切にしながら、そ の持ち味をアイデンテイテイにして世界に対する貢献も考え て行ったらよくはないか。外国人不熟練労働力の正規導入を提唱しながら、節度をわき まえた事の運び方に留意を促す訳はここにあるのである。 (つづく)  
 

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