田村憲久厚生労働相は5月11日、NHKの番組で、高齢者の働き方が多様化していることを踏まえ、現在、個人の選択で公的年金の支給開始年齢を70歳まで引き上げられる制度について、75歳程度まで広げられないか検討する考えを示した。

日本男性の平均余命は80歳。5年しかもらえない年金のために誰が何十年も積み立てる気になると思っているのか。75歳まで働かせるのだったら、年金制度は要らない。

 2011年10月に政府は厚生年金の支給年齢を「68歳」に引き上げることを提案したことがある。その時、「40年支払って支給10年という年金の国家詐欺」というコラムを書いた。

 4年前の2007年11月12日にドイツでの年金支給年齢引き上げのコラムを書いた。ドイツの場合、65歳から67歳への引き上げだった。今度の政府の提案はより深刻だ。平成17年度に厚生労働省が発表した日本男性の平均余命は78.79歳。日本では20歳になると年金を支払う義務が生じる。60歳までの 40年間年金を払い続けて、10年ちょっとしか年金支給がないなどということがありうるのか。わが高知県の場合の平均余命は77.93歳だから、10年も 支給がないことになる。

 これは国家による詐欺だ。そんな厚生年金ならば、国民それぞれの自己責任で老後に備える方がよっぽどましだ。厚生年金は解散してこれまでの積立額に応じて分配すればいい。