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団地で自家発電するという真夏の夜の夢

1999年08月23日(月)
萬晩報主宰 伴 武澄



 武蔵野市は10月から市内で建て替え中の住宅・都市整備公団の桜堤団地に生ごみ処理機13台を設置し、団地で出る生ごみのたい肥化を進めるという報道に接した。

 朝日新聞の東京都内版によると、この団地には2300世帯が住み、第一期の建て替え住宅に入居するのは600世帯。生ごみをすべて処理すると年間60トン近くなる。生ごみ処理機は公団が購入して、武蔵野市に無償で譲渡され、管理・運営するそうだ。

 武蔵野市の発想はなかなかのものだが、萬晩報はさらに考えた。

 これくらいの規模の団地ともなれば、1世帯4人が住むと仮定して人口は1万人程度になる。併せて自家発電装置も設置すればさらに面白い実験になると思う。

 1世帯3キロワットの発電能力として2300世帯だと7000キロワットあれば、ほぼ全世帯の電力消費を賄える。1万キロワットで発電して余剰分を東京電力に売却すればいい。

 発電は当然ながら、天然ガスを利用したコージェネレーションを導入し、予熱は団地内の給湯に利用する。

 2300世帯も住んでいれば、電力関連に勤めていた退職者もいるだろう。そうした人々を雇用すれば「団地内地域振興」にもなる。

 だれがお金を出すのか。団地内で出資を募ればいい。1世帯10万円の出資で2億3000万円を超える。後は借金すればいい。団地内に発電装置を設置すれば土地代はいらないから、10億円もあれば1万キロワット程度の発電装置は購入できるのではないだろうか。

 コストが高いとされる風力だって、700キロワットの発電機1基が約1億円で設置できるのだから、1万キロワットのコージェネが10億円で設置できないはずはない。

 乱暴な計算だが、1世帯当たりの年間の電気代と給湯費を25万円とすると、4、5年で減価償却が終わり、それ以降、この団地では電気代と給湯費は半分になる計算だ。

 ついでにNTTのOBで地域通信会社をつくって団地内の電話とインターネットを無料にするアイデアはどうだろう。

 問題は公団がそこまでコーディネートしてくれるかどうかだ。いまの住宅・都市整備公団にはそうした能力はないだろうが、分譲事業を辞めることになった公団の次の仕事としてぴったりではないだろうか。

 だめならベンチャーの登場を待つしかない。

 萬晩報の真夏の夜の夢である。可能性があるのかないのか、読者の中に専門家がいたら教えてほしい。

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