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「アジ研のジェトロ統合は知的財産の喪失」への反論

1999年03月03日(水)
日本貿易振興会(ジェトロ) 赤坂 あおい



 宮本天さんが書いた1月14日付萬晩報「アジ研のジェトロ統合は知的財産の喪失」にジェトロの幹部から間接的に「事実と違うので反論を載せたい」との依頼がありました。内容的にあまり「反論」にはなっていないような気がしますが、政府機関のひとつから萬晩報に正式な「反論」が届いたことを喜んでいます。【伴 武澄】
 私は現在ジェトロに在職している者です。1月14日付「萬晩報」に掲載された「アジ研のジェトロ統合は知的財産の喪失」につき、このたび、知人からその記事を知らされて読ませていただきましたが、その内容に一部事実誤認があるようで、アジ研ならびにジェトロを正しく理解いただきたく発信する次第です。

 ◆アジ研との統合について
 アジ研は確かに「独立した法人」ではなくなりましたが、ジェトロの附置研究機関として位置付けられ、呼称も存続しています。今回の統合では、今までアジ研が持っていた基礎的・総合的な研究事業とジェトロのカレントな調査や幅広い貿易・投資促進活動の機能を融和・発展させることを基本としており、それぞれ単独では成し得なかったような成果を挙げていくことを大きなねらいとしています。

 事実、双方が持っているアジア諸国の人材ネットワークを活用した共同シンポジウムや研究会を開催したりして統合のメリットを十分活かした事業を実施していると思います。また、海外に派遣されているアジ研研究員の研究が一層効果あがるようジェトロ海外事務所との連携を強める方針だとも聞いています。

 ですから私共は「ジェトロとアジ研の統合は知的財産の喪失」と言われないよう、そして、皆様から統合して良かったと言われるような組織にしようと一生懸命努力しているのです。

 ◆ジェトロについて
 ジェトロは設立後20年ほどの間は政府、産業界、民間企業などと協力して輸出の振興に努めましたが、1980年代に入って貿易黒字が定着したこともあり、方向を大きく転換し、現在は輸入促進事業を活動の大きな柱としております。

 すでに過去10年にわたって欧米各国の政府や貿易振興機関などにわが国の輸入専門家を長期間派遣し、日本市場で有望とみられる製品を発掘したり、現地企業に対し対日輸出に有用な情報提供やアドバイスを行っています。この人たちの活動は現地政府関係者だけでなく、日本国内でも高く評価されています。

 さらに、海外から対日輸出有望商品の販路開拓を目指して訪日するミッションやビジネスマンの受け入れや、商談などをその都度セットアップし、これらの仕事に若い職員が情熱を燃やして取り組んでいます。また、消費者の方の手の届きやすい価格帯の輸入自動車を展示した輸入車専門のショウルームやカナダ、北欧を中心とする輸入住宅の展示場を運営し、消費者に輸入情報をお届けしています。

 昨年、経済危機に見舞われたアジア諸国に対しても、緊急産品買い付けミッションをタイ(食品、アパレル)、インドネシア(家具・インテリア用品)、フィリピン(家具・インテリア用品、食品)、韓国(電気・電子機器)等に派遣しまして、これら諸国の方からも、それに参加した多くの日本の中小企業の方からも大変感謝されました。

 輸入促進だけではありません。日本への外国投資を増やすため米国や欧州へ対日投資誘致ミッションを派遣したり、対日投資関心企業を日本に招き、投資環境に関する各種情報提供、コンサルタントを実施しています。

 また、わが国特定地域と海外の地域との産業交流を支援するための事業を行っており、例えば、石川県とイタリア・コモ地域の繊維業界、秋田県と米国ミネソタ州との電子機器業界、長崎県とドイツ3市との環境機器業界などではすでに地域対地域の産業交流が進んでいます。

 すべてをご紹介することを割愛させていただきますが、このほか産業・技術交流、発展途上国の工業化支援、国際交流・相互理解促進など幅広い活動を行っています。

 私どもに対するご批判、ご意見は、私はJETROの一層の改善のためのよい刺激になると思います。限られた予算、定員のなかで皆様の期待に応えられるよう私を含めて多くの人が毎日遅くまで一生懸命努力していることを是非ご承知おきいただきたいと思います。(あかさか・あおい)

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