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KDD市内通話でゼロゼロ・ワンダフル!

1998年09月30日(水)
萬晩報主宰 伴 武澄



 Kimura,Tamotsuさんから「通信費削減にKDDで市内通話を!」というメールをもらった。なんとも衝撃的な「ゼロゼロ・ワンダフル」である。読者のみなさんに紹介したい。
 前略。私は、所ジョージさんのCMでお馴染みのKDDは市外通話が安くなるものだとばかり思っていました。しかし、市内通話でも短時間(詳しく調べてはいませんが48秒以内だと思います)なら6秒刻みの料金でNTTより安いことを知り、インターネットよりもE-Mailの送受信が多い私はメールの送受信だけ行う時にはKDDを使ってプロバイダーに接続しています。

 これは、高校生の子供がポケベルを打つ時に何やら長いダイヤルを押しているので尋ね、分かったものです。請求書を見た実績ではポケベル1回当りの料金は5円です。ポケベルの場合は、高校生のように今まで高い「授業料」を払って「早打ち」を習得している人に限られ、私のように文字への変換表を見ながらでなければ打てないオジサンはNTTの3分10円の方が安くつきます。

 しかし、メールの場合は誰が送っても同じ時間ですし、通常個人が行う平均的な文章の送受信は送信2通・受信3通程度でだいたい20秒あれば可能ですから、KDDを利用すれば1回当り5-7円です。ただし、受信メールに写真なんかが添付されていた場合には通信時間が長くなってNTTの方が安かった、というリスクもあります。

 メールをする道具に20万円払って、通信費の3円5円を節約するのはナンセンスだというご意見も承知しておりますが、私は以前日本の携帯電話の不思議についてもそう考えましたように、日本の電話には多くの不思議があって、それを国民は当然のことのように受け止めて何の議論も盛り上がらないところにも不思議があると考えています。

 通信インフラは情報の基礎ですが、日本ではその整備は評価できるもののコストが世界一と言っていいほど高く、これは個人がその恩恵に浴するのを阻害しているとしか言いようがありません。

 なぜNTTは3分10円という高額な料金設定なのでしょう。一部で200円の追加基本料金を払えば5分10円という制度を近く全国展開するようですが、それにしても一日8時間つなぎっ放しにすると1ヶ月25日で2万4000円です。多くの国では昭和40年代以前の日本のように、1回つなげば切るまで1通話の料金システムなのに、日本ではこんなに高額な料金になってしまいます。

 確かに、インターネットで得る情報は1ヶ月2万4000円以上の価値があるかも知れませんが、海外ではタダなのになぜ日本に住んでいるというだけでこんなにハンデがあるのか私は不思議です。こういう背景で、私はメールの送受信にKDDを使っています。(Kimura, Tamotsu)


 以上のようなメールをもらった。電話番号の上に「001」と「市外局番」をつけて、京都市内から infoweb の京都のアクセスポイントにつないでみたら、うまくいった。ダイヤルアップネットワークに「001」と「市外局番」を入れた「KDDinfoweb京都」という接続アイコンをもう一つ作り、もう日に何度も使っている。日に多いときは5回は接続するから年間1500回×5円程度の経費節約になるはずだから小さくない。いまから料金請求が楽しみだ。

 調べたところ、国内サービスの料金体系は他の国内電話料金体系が「10円で何秒」が単位であるのに対してKDDの場合、国際電話と同様「6秒で何円」としている。市内電話という分類はないが、市内通話にあたるのは「60キロまで」の分類で料金は「6秒ごとに1.1円」である。KDD以外は最低の料金が10円だから、54秒(9.9円)まではKDDの方がNTTより安く通話できる計算である。

 木村さんは「メールをする道具に20万円払って、通信費の3円5円を節約するのはナンセンスだというご意見も承知しておりますが」などと謙遜しているが、メール通信に全国の人々がKDDを利用したら、NTTは年間で数十億通の市内通話料金を失うことになる。NTTは数百億円の得べかりし収入を失い、KDDは逆にその半分の収入をメール通信から得る。NTTに対する値下げ圧力になることは必至だ。

 ちなみにKDDの年間売上高は3000億円強、経常利益は160億円である。7月から始めた国内電話サービスの初年度売り上げ目標は170億円。メール通信の効果はKDDにとって決して小さくない。

 そもそもKDDの秒刻みの料金体系はNTTは他の第二電電に対抗する市外通話のアイデア商法である。それが結果的にNTTによる市内通話独占を切り崩すツールになるのだったら喝采ものである。

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