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伴正一遺稿集

 ナンバー2、3で何が悪い

                   2018年02月14日
                   萬晩報主宰 伴 武澄

賀川豊彦の平和論はナンバーツー、スリーで何が悪いということだと思っている。ナンバーワンになろうとするから無理をして戦いを挑むようになるのだ。戦前、賀川は北欧諸国を何回かめぐって日本は北欧にあやかればいいということを随所に書き残している。かつてバイキングのころデンマークは巨大な王国を誇っていた。そのデンマークは今、九州ほどの小さな領土に500万人のこじんまりとした国を経営している。大した工業製品もないが、酪農王国として世界屈指の豊かな社会を維持している。賀川にいわせれば、助け合いを社会形成の核に置き、軍備を放棄したからに他ならない。助け合いとは「譲る精神」である。自分だけ得をしようと考えると奪い合いが生じ、富の格差が生まれる。逆に譲ることを始めれば、みなが譲り合い、みんなが富を分かち合える社会が生まれるというのだ。

それから軍事費を教育を中心とした社会保障費に充てるだけで国の在り方が180度変わるとも言う。「他国から攻められたらどうするのだ」。そんな疑問は当然起こるだろう。北欧諸国はこの100年、ソ連やドイツから何度も攻められ、占領されている。だが国はなくなっていない。キリストの教えではないが、欲しいものがあれば与えればいいのだ。最後の衣一枚があれば生きて行ける。150年前デンマークは南部の豊かな酪農地帯、シュレスウィッヒ・ホルスタインをプロシアに奪われた。今も奪われたままである。国民はプロシアを怨むことなく、残った北部の半島を開墾し、50年後には再び豊かな酪農地帯を生み出した。今のデンマークはそうして生まれ変わった。

僕も高知の人間として広い山林を親たちから遺産相続した。そんなものは誰も欲しがっていない。だが、その山林を開拓しようと思うと隣接する山林との境界線を確定しなければならない。隣接する山林の持主を探し出して交渉しようとすると、必ず諍いが起きる。誰もが欲しくない山林でもいったん境界線を確定しようとすると自分に有利にしようと考えるのだ。

この話は国家間の領土問題と酷似している。誰も住んでいない日中の尖閣列島の領有権問題はそっくりだ。使いもしない島の領有権をめぐって、もし戦争になるのだとしたらそれほどばかばかしい話はない。戦争が起きると必ず人が死ぬ。平時に人を殺せば何処の国でも犯罪となるが、いったん戦争という事態になると人を殺すことが英雄になる。

われわれは国の偉い人たちに煽られてはならない。戦時には戦争に反対すると「非国民」となじられる。人々は戦争が嫌でも非国民よばわりされたくないから戦争に賛成する。賛成するばかりでない。今度はご近所の人たちを「非国民」となじる側になる。こうなると平常心などなくなってしまう。群集心理というやつだ。何処の国でもそうやって国民感情がエスカレートし、戦争を回避できなくなる。

戦争に賛成する人たちが愛国者となる。よくよく考えれば、これほど矛盾した話はない。人殺しが愛国者となるのだ。考えてもみたまえ。戦争の当事国の双方が愛国者なのだ。国境内の愛国者は同志だが、国境の向こうの愛国者は敵になってしまう矛盾を感じないのだろうか。戦争は人々を盲目にしてしまう。お互いが愛国者同士なのだったら、戦争をしないことが一番正しいことなのだ。




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