魁け討論 春夏秋冬



政治とカネ物語  (4)

1999年11月13日
 元中国公使 伴 正一

ご意見
 意外や意外,自民党が(政治家個人への)企業、団体献金禁止に踏み切った。

 片や、日本の風土にはなじまないとされてきた個人献金をこれから盛んにし、二十一世紀には、国全体に流れる政治資金総量の主軸にまで躍進させるくらいの自信を窺わせる真面目な案は、与党にもなければ野党にもない。

 世の木鐸づら(面)をして政治を叱ってばかりいるマスコミだって、こと政治とカネの話になると、戦前の修身教科書を思わせるような説教論調でお茶を濁しているだけだし、抜け道に関する指摘もまるで他人事(ひとごと)みたいだ。

 政見の面では寄り合い所帯の自民党だ。本当なら総裁選挙までに最終結論を出しておかねばならなかったこのテーマを、今頃になってどんでん返しで決めるとは醜態もいいところだが、現在の自民党にはあり勝ちなことで、叱って治るものなら世話はない。

 民主党にも寄り合い所帯の影は色濃く,個人献金を飛躍的に伸ばす名案を,党として打ち出せる状況にはない。

 こんなとき何故マスコミが、それこそ言論人の面目にかけて政治とカネの根深い急所に突っ込んで行けないのか、と歯がゆくも思う。

 マスコミの役目は、悪を懲らしめる検察庁と似たり寄ったりの部分もあるが,それが全てではないはずだ。

 今に倍する知的体力を要しようが、政治が万年先送りを決め込んでいるかに見えるこんな分野に分け入り、狼煙(のろし)代りに、国民がハタと膝をたたいてうなずくような実効的構想を打ち上げれないものか。

 しかしそれを一朝一夕に望むのも無理な話だと思うので、次号ではマスコミの奮起を促し、期待しながら、不敏を顧みず一つの試案を呈示して大方の批判を仰ぎたい。

 内容は平成10年7月12日のコラムを書き改めたものになる予定である。

                          (つづく)


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