Sakigake Touron
Shoichi Ban   
 

魁け討論春夏秋冬

ご意見


 

今こそ意識革命!
2001年07月07日 


 カネの汚染から民主政治を救い出すには、急がば廻れ、意識革命に正面から取り組むしかない。前号ではそういう結論になった。

 だが、その意識革命というのは大仕事だ。それをそうしてやってのけるか。それが本号からのテーマである。

 大多数の人は「そんなことができるものか。できても百年がかりだよ」という。

 それでいい。と私は思う。百年かかるものなら百年かかってもいいではないか。そして――ここからがミソなのだが――百年かかるのならば、行動は百年手前に開始する必要がある。悠長なことを言っておれないのだ。

 いまの日本では、百年の計を言うと人が笑うが、実践課題で百年モノはある。取り組みが難しくて、われわれ現代人が考えあぐんでいるだけ、手がつかないでいるだけだ。

 幕末の黒船騒ぎのあとでも。土佐藩の武市半平太らが土佐勤皇党を組織しなかったら、たぶん坂本竜馬も出ていないし、明治も今の日本もなかっただろう。

「どうして幕府が倒せるぜよ」

 武市半平太の動きを見て土佐の侍たちは、その非現実性を笑ったに違いない。武市グループの面々自身にも、武家政治を終らせる成算がその時点で立っていたかどうか。

 しかし、彼らは早々と行動に移った。遠い水平線に視線を放って1800年代中葉の土佐の、そして日本の、政治的現実に一つ一つぶつかって行った。そして悲しくも、一つ一つの命が散っていったのである。

 竜馬を含めて彼らが展開した一連の政治行動から、土佐に生を受けた我々は何を学ぶべきなのか。

 600年続いた武家政治にピリオドを打とうとした、何という破天荒な! そして欧米先進国にヒケをとらない近代国家を作り出そうとする、その雄図! いま我々に欠けているのは、こうした心の躍動と、それを支える志ではあるまいか。

「困ったもんのう」 を百万遍くり返しても道は開けない。百年かかろうが百五十年かかろうが、正しい進路がそれと分かって二の足を踏むようなら、本当の竜馬を誇る資格はないのだ。

  【魁(さきがけ)6号=昭和60年8月3日】

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