父の随想から(2)
2001年06月23日(土)
■ひとつの幸福論    伴 正一

 人間が爽快さを感じるのは、自分の持っている機能を巧みなリズムに乗せて使っているときであろう。欲求不満にもバテ気味にもならないで適度の緊張感の下で人間機能が躍動している時である。休息が楽しいのも、右のような状態の中に間合いよく休息が織り込まれているときであろう。そして、ところどころに全力投球部分を配しながら、節目、節目で人間成長―機能発達―の成果を確認できれば、爽快さは更に倍加する。

 幸福とはこのような爽快さのことではあるまいか。

 確かに「富を築き生活水準を上げていく過程」も幸福には違いないが、「物質的な幸福」には、何時かの段階で、それ以上自分を豊かにしようとすると、どこかで他人を搾取しなくてはならなくなる時期がくる。

 人間成長の楽しみにはそのような行き詰りはない。何時までも追って行くことのできる爽快さ、幸福である。それどころか、人間は成長すればする程、その育った力で他人のためになることが多くできる。それが爽快さをさらに倍加する。「小我」から「大我」の世界を目ざすことである。

*(『ボランティア・スピリット』(1978年、講談社)より。本書は『日本人の可能性と限界』(中根千枝著)、 『発展途上国と日本人』(鳥羽欣一郎著)との三部作のひとつで、青年海外協力隊事業の理念をまとめたものである。


■若者へ

  少量の塩が
   しるこの味を
    豊かにするように

  若さの中に
   適量のスリルが
    きいていたら

  一人ひとりの青春は
   顧みるときの微笑み、
    風味のあるものになるだろう

  青年海外協力隊への道も
   そのひとつ
    ほかにも
     その気になって探せば

  一見、平凡に見えても
   心のときめきを喚ぶ
    生き方のあることに
     気づく筈だ

    

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