民主主義: 2008年11月アーカイブ

  オバマ氏がアメリカ大統領選で大勝した。共和党マケイン氏に対してダブルスコアだった。ブッシュ時代の8年間、アメリカ国民は経済的繁栄を謳歌したはず だったが、気が付けば長引くイラク戦争における「正義」に対する懸念、そして金融危機に到る資本主義の暴走に対して表現しがたい疑念が首をもたげ、民主党 への雪崩的支持が集まった。

 アメリカは白人とプロテスタントが建国した国家だった。50年前、ケネディがカトリック教徒として初めて大統領に就任し、まず宗教の壁を乗り越えた。今 回、オバマ氏は人種の壁をも乗り越えた。世界最強国の指導者が有色人種になることは、アメリカ史のみならず世界史的な変節点を迎えたといってもいい。
 オバマ氏が特異なのは、アメリカの黒人出身でないところである。白人とアフリカ、ケニヤ人の血が流れ、インド ネシアの文化を受け継いでいる。そして知的精神的にはワプスであろう。オバマ氏の台頭にはそれこそタイガー・ウッズの彗星の如き登場に似た爽快感が伴って いた。地球的ルーツをもつことはアフリカ、アジア諸国の人々に勇気を与えるものでもある。

 大統領選でオバマ氏が掲げたスローガンは「Change」と「Yes We Can」である。「Change」はブッシュ的体質への決別を示したものであろう。世界はイラク政策もマネー経済も変革されるのを期待している。世界に とって強いアメリカは必要だが、暴走を止めるものがいなくなった時代に「戦争」で突っ走られた8年間だったから当然である。

 「Yes We Can」はマレー語の「Boleh」に通じるものだと信じている。マハティール前マレーシア首相がルック・イースト政策を提唱したとき、国民を励ました言 葉は「Malaysia Boleh」だった。「私たちにもできる」と訴えることによって国民的求心力を勝ち取った。この言葉は途上国マレーシアのみならず、人種の対立、宗教の対 立を乗り越えなければならないアメリカ国民の心を打ったはずだ。オバマ氏はマハティールに学んでいるはずである。

 オバマ氏の大統領就任は来年1月20日である。これからワシントン入りする閣僚たちの選抜が始まる。財務長官にサマーズ氏の声が早くも上がっている。閣僚名簿がそろった時にこそオバマ政権の本当の姿が見えてくるはずである。

 大統領が黒人になったことはそれこそ大きな変革であるが、アメリカが変わるためにはオバマ氏を支える閣僚たちにも新しい血や知が必要なのである。オバマ氏が無事に1月20日を迎えることを祈る。(伴 武澄)

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