民主主義: 2005年8月アーカイブ

2005年08月31日(水)
萬晩報主宰 伴 武澄
  きのう「総選挙の真の対立軸は小泉vs亀井」というコラムを書いた。そうなると岡田民主党は本当の敵を間違えているということになる。いま敵対すべきは小 泉自民党ではない。民主党が改革政党を名乗るなら、自民党内の抵抗勢力こそが民主党の真の敵なのだということを知るべきである。

 いま小泉自民党を敵に回すということは民主党が目指す理想と逆行することになる。多くの有権者が民主党に風を送らないのはそういうことではないかと思っている。

 小泉首相がきょうの街頭演説で強調したのは「本来は野党が言うべきことを与党の私が言っている。逆ではないのか」。そこまで言われているのに小泉改革の批判ばかりに徹していたのでは岡田さんは支持を得られない。

 今回の総選挙で岡田さんが犯した最大の間違いは「政権を取れなければ退陣する」と退路を断ったことである。小泉首相のまねをする必要はさらさらない。先 に宣言したのならともかく、二番せんじの「退路を断つ」公約では迫力はないからだ。

 岡田民主党に期待するのは筆者だけではない。しかしこの時点で改革の足を引っ張る国内の勢力に引導を渡したのは小泉純一郎だった。

 言いにくいことだが、岡田さんはまだ民主党の中でそこまでの勇気を持っていない。もしこの時点で小泉首相に張り合うなら「退路を断つ公約」ではなく、官 公労と縁を切る宣言が不可欠だ。小泉首相は自民党の長年の支持基盤である特定郵便局に絶縁状をたたきつけたのだから、岡田さんはそれ以上の勇気が必要なの だ。

 有権者の多くはそこのところはしっかりと見抜いているはずだ。だからといって岡田さんに完全に失望しているわけでもないし、改革政党としての民主党を見限っているわけでもない。

 多分多くの改革支援者たちは小泉さんの次に岡田さんに期待しているはずなのだ。そこのところを見間違えてもらいたくない。いまからでも遅くはないと思 う。岡田さんは小泉改革にエールを送って次を狙ってほしい。小泉首相は来年の9月には「退陣する」と何度も公約している。本音で語れば、民主党内部からも 本当の岡田支持者が増えてくる。

 岡田さん、もう建前の論戦はやめましょうや。広島6区の選挙民は困っているはずだ。改革志向の選挙民は民主党の佐藤公治と無所属で小泉首相推す堀江貴文に票が割れて亀井静香が漁夫の利を得ることに頭を悩ませているはずだ。

 岡田民主党が公示後のいまできることは「小泉ほめ殺し」しかない。郵政民営化を認めた上で、「われわれも特別国会で郵政民営化法案を出す。どちらがより いい民営化をできるか勝負しましょう」ぐらいのことをぜひ言ってほしい。

 そうなれば、この総選挙は完ぺきな対立軸が生まれ、選挙戦はがぜん白熱するはずだ。どうだろうか。
2005年08月30日(火)
萬晩報主宰 伴 武澄
 きょうは公示日。いよいよ総選挙の幕が切って落とされた。小泉自民党は郵政民営化の実現を掲げ、岡田民主党は政権交代を求めている。表面的には二大政党の激突時代を迎える様相を呈しているが、何か違うと感じている有権者も少なくない。

 昨夜、支局の仲間と話していて気付いたことをきょうは報告したい。

「今回の選挙は自民と民主が対決しているけど、本当に二大政党が対決しているのだろうか」
「民主党は確かに自民党から政権を奪う戦いをしているが、小泉自民党の敵は実は民主党ではないんじゃないかと思う」
「俺もそう思う。小泉自民党の本当の敵は亀井静香を筆頭とする党内の抵抗勢力なんだよ」
「第二次大戦時の中国みたいだ。蒋介石政権は日本と戦争しているつもりだったが、当の日本はアメリカと戦争をしていた」
「そうそう。いい比喩だね。社民の福島瑞穂が言っている通り、岡田民主党と小泉自民党の主張はそう変わらない。実は自民党内の価値観の対立の方がよっぽど深刻なんだ」
「まさに自民党内の抗争こそが解散総選挙の引き金になっているという現実をもっとマスコミは報道しなければならないのだよ」

 小泉自民党の今回の郵政民営化騒動を振り返ると、中国で1950年代に起きた百家斉放運動を思い出さざるを得ない。毛沢東は革命遂行にあたって「内部矛盾」という問題をことのほか重視した。『矛盾論』という"名著"もある。

 革命の進め方について広く知識人たちに意見を求め、その中から「内部矛盾」と「敵性矛盾」をえり分け、敵性矛盾にレッテルを貼り、それらに総攻撃を加えるという手法である。小泉自民党はまさに50年近く前の中国共産党の奪権闘争に重なる。

 自民党のマニフェストが言うように郵政民営化を実現することで、規制緩和を含め多くの構造改革が進展する素地が生まれそうな気配だ。

 小泉首相にとって郵政民営化問題は目的ではなく、抵抗勢力を自民党から切り離す手法の一つだったのだ。そういう目で今回の総選挙を見ると小泉自民党の主 戦場は民主党との全面対決ではなく、広島6区であり、東京10区なのだということが分かる。この時点で自民党内の抵抗勢力を一挙に排除できれば「勝った」 とほくそえむのだろうと思う。

 自民党が自民党であり得たのは、まず政権の座にいて、官界と財界と鉄のトライアングルを組んで、利権の采配者として君臨していたからだった。小泉首相の 第一の功績はその利権の中核派閥だった橋本派を崩壊に導いたことである。

 派閥を牛耳った野中広務は政界を引退し、参院自民党を率いた青木幹雄は郵政民営化法案の参院での否決で政治生命を失ったも同然。かつての首相だった中曽 根康弘と宮沢喜一はすでにいないし、橋本龍太郎も政界を引退した。国民新党をつくった綿貫民輔は終わった人だし、堀内光雄や平沼赳夫が党内に確固たる力を 持っているわけではない。これに亀井静香を排除すればもはや小泉の天下となる。

 繰り返すようだが、今回の総選挙の最大の注目点は広島6区の亀井静香の当落ということになる。どうだろうか。
2005年08月14日(日)
萬晩報通信員 成田 好三
 小泉純一郎主首相は凄まじい政治家である。まさに稀代の策略家、いや天才的な軍師、戦略家といえるだろう。

 参院本会議での郵政民営化関連法案の否決は、郵政民営化を内閣の至上命題とする小泉首相にとっては絶対的な危機である。しかもその危機は敵(野党)ではなく味方(自民党)の反乱によってもたらされた。

しかし、小泉首相は圧倒的に不利な、全面敗北寸前の状況下で、妥協的勝利ではなく、全面勝利を目論んだ戦略の実行を決断し、正面突破作戦を決行する。

 敵と戦う前にまず「反乱軍」を鎮圧し、併せて敵を「反動勢力」と位置付ける。それが今回の解散・総選挙における総司令官であり軍師も兼ねる小泉首相の選挙戦略である。

 衆院解散後の第一ラウンドは、小泉首相の戦略通りに進行している。その一部をこのコラムで分析してみることにする。

 ■「郵政解散」ネーミングの勝利

 衆院解散・総選挙のネーミングは重要な意味をもつ。その選挙の特性、イメージを決定付けるからである。

 解散・総選挙を決断した直後、8月8日夜の会見で、小泉首相は自ら「郵政解散」と名付けた。翌9日付以降の新聞各紙は、朝日を除いて、「郵政解散」を社説や特集・連載のタイトルや見出しに使っている。

 総選挙の焦点をメディアを通して、「構造改革で民間主体の小さな政府を目指す郵政民営化賛成勢力」=小泉自民党、公明党=と、「官主体で大きな政府を維 持したい郵政民営化反対勢力」=自民党造反勢力、民主党など全野党勢力=の対決という構図に持ち込むことにまずは成功した。

 小泉首相の戦術はさらに手がこんでいた。10日には、自ら名付けて新聞各紙の多くが使用した「郵政解散」の呼び名を、「郵政・ガリレオ解散」と変更するよう提案した。

 これもメディア対策である。メディアは取材相手、特に権力者の取材相手が提案した名称の使用を嫌う習性がある。

 政治的にニュートラルな事案であった「阪神淡路大震災」(政府側の名称)でも、多くのメディアはこの名称を使わず、「阪神大震災」で通した。

 小泉首相とメディア対策に長けた飯島勲書記官ら側近は、あえて定着しかけた名称を否定してみせたのである。これには以下のような、小泉首相のメッセージが込められている。

 「私が当初名付けた『郵政解散』の名称は撤回しましたから、どうぞ自由に総選挙のタイトルをつけてください。ただし、私は既に名付け親の立場を放棄したので、『郵政解散』を使っても結構ですよ」

 こうなると、メディアは「郵政解散」の使用に躊躇しなくなる。

 民主党の岡田克也代表は「郵政解散」に反発し、幾つかの代案を提案したが、後の祭りである。岡田氏の代案を使うメディアは一つもなかった。

 ■「竹中擁立」はガセネタか

 小泉首相が、民営化法案に反対した自民党前議員すべての選挙区に対抗馬を立てる方針を明らかにし、その第1弾として小池百合子環境相(比例近畿)を小林興起氏(東京10区)の対抗馬として擁立すると決めた10日、永田町をある噂が駆け巡った。

 反対派の中核の一人である亀井静香・元政調会長の選挙区である広島6区に、竹中平蔵・郵政民営化担当大臣(参院比例)を擁立するという噂である。一部メディアは「擁立有力」と報じた。

 自民党の反対派は早くも足下が乱れている。選挙向けの新党構想はあっという間にしぼんだ。

 党の公認を得られない反対派は、自民党の看板も、自民党の金庫も、自民党総裁の印のある借用証書も使えない。選挙向けの新党立ち上げにも失敗した反対派は、現行の公選法では圧倒的に不利な無所属で戦うしかなくなっていた。

 そこに小泉首相が「刺客」(対抗馬)を送り込んでくる。しかもその第1弾はタレント出身で現職閣僚の小池氏である。

 11日付の読売「スキャナー」によると、「竹中擁立」の情報は、反対派の会合の席で、1枚のメモによって伝えられた。

 この記事によると、亀井氏は「望むところだっ」と吠えたそうである。しかし、実のところは冷や汗を流し、肝をつぶしていただろう。

 記事では「竹中擁立話はガセネタだった」とあるが、単なるガセネタであるはずもない。これも飯島秘書官らが仕掛けた情報戦に違いない。「擁立有力」と報 じた一部メディアは巧妙なリークの罠にひっかかったのだろう。この記事では、午後4時に竹中氏が首相官邸を訪れ、小泉首相との会談後に擁立話を否定したと あるから、相当に手のこんだ情報戦である。

 ■「刺客」はいくらでもいる

 小泉首相が、反対派全員の選挙区に対抗馬(刺客)を立てる方針を明らかにした際、反対派や野党、メディアの一部は、そう簡単に大量の対抗馬は擁立できないだろうと考えていた。

 しかし、それはとんでもない間違いである。対抗馬はいくらでもいる。何もこれからあわてて民間人を探すこともない。「身内」に数多くいるからである。

 国会議員にはある習性、方向性がある。参院議員なら衆院議員、それも比例区ではなく選挙区に鞍替えしたい、比例区の衆院議員なら選挙区に転出したい、という習性、方向性である。

 小泉首相はこの習性、方向性を利用すればいいだけのことである。東京10区への擁立が決まった小池環境相も衆院比例区選出である。

 参院比例区選出議員なら本人にとっても、党にとっても都合がいい。本人にとっては衆院議員、それも選挙区選出議員になれるチャンスだからである。党に とっては、参院比例区議員が衆院議員に転出するため何人辞職しても不都合はない。その都度、次点者が繰り上げ当選するから、議席数が減ることはない。しか も、鞍替えする本人も、繰り上げ当選する次点者も、ともにチャンスを与えてくれた小泉首相に感謝する。

 小泉自民党有利な情勢下ならば、対抗馬擁立に困ることはない。国会議員以外からの自薦他薦組も増えてくる。

 小泉首相の戦略、戦術は事前に周到に準備されたものである。(2005年8月12日記)

 成田さんにメールは mailto:yo_narita@ybb.ne.jp
 スポーツコラム・オフサイド http://blogs.yahoo.co.jp/columnoffside
2005年08月11日(木)
萬晩報主宰 伴 武澄
  8日午後1時からの参院本会議で郵政民営化法案はみごとに否決された。日本の構造改革はまた一から出直しなのだろうかと陰鬱な気分にさせられた。しかし小 泉純一郎首相はどうやら違うモードにあったようだ。自民党の青木幹夫参院会長のうつろな表情とは裏腹に小泉首相は意気軒高で反転の行動も素早かった。

 直ちに臨時閣議を召集し、解散に反対した島村農相を罷免し、解散署名を集めた。さらに9月4日公示、11日投開票の総選挙スケジュールを決定すると同時 に、衆院で郵政民営化法案に反対した37人の造反組の公認はないことを内外に宣言し、電光石火のごとく総選挙の方針を決めていった。

 山本一太参院議員が心配していた解散総選挙における3つの懸念などはいまのところ杞憂におわっているといっていい。自民党の執行部や閣僚たちが否決後のショックで放心状態にある間に小泉首相のペースで総選挙の方針を決めてしまった感がある。

 さらに夜の記者会見では、今回の解散総選挙の意義について、あらためて小泉改革路線の是非を国民に問うという国民投票的意味合いを強調し、自公で過半数 を取らなければ下野すると自ら退路も断った。返す刀で本来、郵政民営化に賛成すべき民主党が大安を出すどころか法案反対を貫いたことを批判、小泉自民党こ そが真の改革政党であることを印象づけてしまった。

 一連の動きを振り返ると、小泉首相は本当は参院での否決を望んでいて、衆院解散をてこに自民党から抵抗勢力を駆逐する口実にしたかったのではないかと勘繰りたくなるほどの手際良さだった。

 小泉首相は8日の参院本会議で敗れたはずなのに、一日が終わってみるとこの日の勝者は小泉首相になっていた。小泉首相は敗者から、あっという間に攻勢に転じ、抵抗勢力も岡田民主党もなすすべがなかった。だれもがそんな印象を得たのではないかと思う。

 少なくとも小泉自民党の選挙公約である郵政民営化に反旗を翻したのだから、抵抗勢力はそれなりの覚悟と戦略を持っていなければならなかった。小泉自民党 に政策面で堂々と渡り合えるだけの準備が必要だった。解散総選挙が終わったら、再び自民党の合流できるだろうなどという卑屈なまねだけはしてほしくない。 少なくとも一時は、小泉首相の「覇道」てい手法に対して「王道」などとほざいた勢力なのだから自らの王道ぶりを示してもらいたいものだ。

 民主党内にも少なからず郵政民営化論者がいるはずだ。これを抑えて改革の着手を遅らせる勢力となってはならない。本来ならば、民主党こそが改革の旗手だったはずだ。構造改革の必要性を知りながら手をこまねいていた自民党に対して大同団結したのが民主党ではなかったか。

 言葉だけの総花的改革論はもはやだれも聞きたくない。改革には反対があり、痛みが伴うことを国民は覚悟している。「政治空白」「景気の後退」などだれも 気にしていない。マスコミ各社の直近の世論調査を読むと、小泉ブーム再来の兆しがある。民主党にお願いしたい。自民党だけには投票したくないと思っていた 筆者のような人たちを転向させるようなことだけはしてほしくない。
2005年08月07日(日)
萬晩報主宰 伴 武澄
 参院議員の山本一太氏が参院で孤軍奮闘している。参院で郵政民営化の必要性を声高に主張しているのはほとんど山本氏しかいない。山本氏がホームページに今夜書いているメッセージを勝手に転載したい。
 http://www.ichita.com/03report/index.html

 NO.1432 「改革自民党のチャンス」 2005年8月7日 パート2
  HPのアクセス数/日はここのところずっと2000を超えている。昨日から今日にかけてレポートの読者から100通以上のメールを受け取った。9割は「激 励のメッセージ」だった。内容は大きく分けて次の三つ。「郵政改革に賛成」「今になって民営化に反対する議員はおかしい」「否決されたら解散して国民に信 を問うべきだ」というものだった。
  昨晩、大村秀章衆院議員から電話があった。このレポートにも何度か登場した大村氏は、自民党を代表する若手論客の一人。愛知県の自民党県連会長も務めてい る。「地元の声を拾ってみると、小泉総理に同情的で、法案反対派に厳しい。もしかすると風が起こるかもしれない。選挙は小泉改革支援の立場でやるつもり だ!」と話していた。続けて東京都選出の菅原一秀衆院議員からも連絡が入ってきた。菅原氏は区議会議員として政界にデビュー。地盤も看板もないことろから 攻め上ってきた筋金入りの改革派だ。「選挙区の盆踊りを回ってみたら、郵政改革への関心が高い。ここ数日の一太さんと小林興起さんのテレビ討論が話題に なってました。ほとんど10割の人が(山本一太の主張が正しい)と言ってました。それを伝えたかったんです」ということだった。そういえば、昨日の「高崎 まつり」で会った地元の有権者からも口々に、「一太さん。郵政民営化は賛成だ。しっかり頑張ってくれよ!」と声をかけられた。ついでに言うと、政界の兄貴 分である武見敬三参院議員からも電話があった。会話の内容は書かない。が、武見さんてさすがに腹が据わっている。
  選挙になった場合、小泉総理は法案に反対した37名の衆院議員を「公認しない方針」を固めている。マイナス37(あるいは51?)の議席からスタートする わけだから、誰がどう考えても苦しい選挙だ。が、必ずしも負けるとはかぎらない。そんな気がしてきた。小泉総理と党執行部が中途半端なことをせず、造反組 (*この言い方は好きではない。「違う信念を持った議員」というべきだろう)のすべての選挙区に候補者を擁立するという覚悟で臨んだら、すべての選挙区に 「改革自民党」の新人を立てることが出来たとしたら...デビュー当時とは違った「風」が吹くかもしれない。選挙の構図は「三つ巴」になる。「改革自民党」と 「違う信念を持った前自民党議員」(新党?)と、そして「対案のない野党民主党」の間のレースになる。
 万が一、解散総選挙になる場合でも、小泉首相は国民の多くが応援していることを忘れないでほしい。山本氏は仮に解散総選挙になった場合、小泉首相に三つのことを求めている。

 (1)即刻、衆議院解散を表明する。
 (2)同時に法案に反対した37名を自民党の名簿から外す。
 (3)37選挙区のすべてに新たな公認候補者を擁立する。

 筆者も絶対に抵抗勢力と妥協してほしくないと思っている。加藤紘一氏が「加藤の乱」で最後に腰砕けになった二の舞いにはなってほしくない。総選挙でのス ローガンはあくまで郵政民営化でなけれなならない。信じる道を貫けば、道は自ずから開けるというものだ。

 国民は利害抜きにそういう政治家を求めているのだ。
2005年08月06日(土)
萬晩報主宰 伴 武澄
  ここ数日の小泉純一郎首相を見ていて「孤高」という言葉を思い浮かべた。自民党はおろか、マスコミもほとんど小泉支援の声が出てこない。民営化法案の成否 が問題なのであって、解散の是非は二の次の話なのに、メディアの関心は解散とその後の政局にしかないのは悲しいことだ。

 きょうの日経新聞は平田育夫論説副主幹の「改めて郵政改革を考える」と題したコラムを一面に掲載した。いまごろになって郵政の民営化が「新しい国造りに不可欠」であることを主張している。

 きのうも書いたが、筆者は郵政民営化論者である。郵便貯金と簡保の350兆円の資金が政治家や官僚の都合で採算性を度外視した事業につぎ込まれてきた歴史をわれわれは見てきた。郵貯が一般会計予算による国債発行の受け皿になってきたことも見てきた。

 真面目に日本の財政を考える人にとって、国家と郵貯との関係を断ち切らなければならないことは自明の理であろう。もはや議論の余地はないはずなのだ。

 郵政民営化法案に反対する自民党の多くの議員にとって、本当に頭に来ているのは郵政民営化法案などではないのだ。小泉首相がこの4年間とってきた政治手法がたまらないのだ。

 どういうことかというと、小泉首相が現れるまでの日本の政策は、官僚と自民党議員の二人三脚によってつくられてきた。本来ならば、内閣は国会で選ばれた 内閣総理大臣に全権を委ねなければならないのだが、官僚たちは内閣をないがしろにして自民党のそれぞれの利権集団に相談して政策を立案してきた。

 自民党の議員たちは官僚たちの配慮によって、黙っていても多くの利権にありつくことができたのだった。小泉首相が取った手法は、その官僚と自民党議員との関係を断ち切ることだった。

 小泉首相は内閣の機能を強化するため、民間人を多用した多くの諮問機関をつくった。その諮問機関のリーダーは竹中平蔵氏だった。諮問機関で政策提言がなされると多くの場合、官僚たちは反対に回った。当然ながら利権集団の自民党議員たちも反対に回った。

 諮問委員会では最後に小泉首相の意見が求められ、そこで「ゴーサイン」が出された。以前には政策決定のたびごとに自民党の意向が強く反映されたが、諮問 委員会形式の政策決定では自民党議員の出る幕がないのだ。出る幕がないということは利権にありつけないということでもある。

 多くの自民党議員にとって小泉首相の存在は煙ったいどころではなかった。自民党議員のこれまでの仕事は業界や支援団体への利益誘導だった。その原資は財政であり、財投資金だった。

 財政資金はすでに枯渇していることは多くの自民党議員たちは知っている。残るのは財投資金である。その財投資金のほとんどを賄っているのが郵貯の資金であるから小泉首相はその最後の資金源を断とうとしているのである。

 自民党の議員たちは利益誘導の資金源を断たれると、議員としての存在価値が問われることになる。これまで自民党は選挙の顔として小泉純一郎を珍重してき た。選挙に勝つためにだけ小泉首相を利用してきた。自民党は政権政党であることが唯一のマニフェストだった。政権にあることによって初めて政党の体をなし ていた。

 自民党にとって単なるピエロだった小泉純一郎が政策を掲げたのだからうまくいくはずがない。日本道路公団の民営化が成立したことで自民党は堪忍袋の緒が切れていたはずだ。よもや郵政民営化までには手を伸ばさないだろうと高をくくっていたが、小泉首相は本気だった。

 8日、参院本会議で郵政民営化関連法案が採決に付される。午後2時前には成否が決まる。郵政民営化法案が可決されれば、自民党の利益誘導の資金源が断たれる。否決されれば、解散総選挙で自民党は二分する。いずれにせよ自民党はぶっつぶれる。

 小泉純一郎の最大のマニフェストは自民党をぶっ壊すことだったのだ。がんばれ小泉純一郎。

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