民主主義: 2001年5月アーカイブ

2001年05月23日(水)萬晩報主宰 伴 武澄

 Good job! We Are proud of you, Prime Minister!

 小泉純一郎首相がまた日本の常識を覆し、ハンセン病に関する熊本地裁裁判の控訴断念を決断した。共同通信の編集局でスピーカーから流れる「控訴断念」の 速報を聞きながら、久々に体内の血が沸き立つ思いがした。ふつうの言葉で語りかける政治をこの国に取り戻した小泉首相が、今度は冷徹だったこの国の政治に 暖かい血流を取り戻した瞬間だった。

 信州南相木村の色平医師が2週間前に送ってくれたコラムを読みながら、読者のみなさんと歴史的なこの1日の残りを静かに過ごしたい。

●ハンセン病-予防法は廃止すれども

骨になっても まあだだよ......。

回復した人でさえ、病名を明かせない病気――それがハンセン病だ。

15年前、京都で学生だったころ、医学部の友人たちと瀬戸内海の島を訪れた。
高松市から小さな船で大島に渡り、そこの療養所、
青松(せいしょう)園の「元」患者さん方から、さまざまな若いころのお話を伺った。

かつて「らい病」とよばれ、(事実と異って)死に至る不治の病とされた。
手足や顔に変形が目立つ症状から、患者は「かったい」「くされ」などと蔑称された。

1931年制定の「らい予防法」によって、全患者が隔離対象とされ、
36年には地域から病者を一掃する「無らい県運動」が広がって、
警察力まで使って発症者全員が療養所に強制収容されたという。
「天刑病」「業(ごう)病」とまでいわれた元凶のひとつは、
差別意識を助長する隔離法、つまり当時の国家政策にあった。

敗戦により、全国の療養所には患者自治会が再建された。

74歳の「語り部」平沢保治(やすじ)さんにお会いした。
国立ハンセン病療養所・多摩全生(ぜんしょう)園の入所者自治会長だ。

13歳の時発病を宣告され、診察した東大病院の医師に
「軽症だから一年もすれば帰れる」とだまされて全生園に送り込まれた。
戦後、薬物療法によって病気が完治するようになっても、世間からの偏見は続いた。
「座っていた椅子を消毒されたり、全生園の人間だとわかると、タクシーを下ろされたり......」

「苦しみの中にある幸せを自分自身で感じられれば、人生に希望を持つことができる」
「歴史は歴史として正しく伝えなければ、その教訓は後世に生かされない」
「公教育の中で障害者と交流できる仕組みをつくれば、そこから信頼関係を育てていく
ことができる」
......「人生に絶望はない」と語る平沢さんの信念である。

94年、大谷藤郎氏(現高松宮記念ハンセン病資料館館長)が
「医学的、人権的に強制隔離は許されない。
らい予防法の隔離条項も削除する必要がある」
と日本らい学会で発言した。
この発言がきっかけとなって、
日本でもやっと96年4月1日にらい予防法は廃止された。
ハンセン病は完治するようになり、らい予防法もなくなった。

しかし血のつながりはあっても、肉親はいない。
「終わり」があっても、帰るところがない。
昔は「火葬場の煙になって出るよりほか、ここから外に出る方法はない」
といわれた強制隔離政策だった。
今はそうではないはずなのだが、死んでもまだふるさとに帰れない。
その思いを、ある入所者が川柳によんでいる。

「もういいかい」
もういいかい?
骨になっても
まあだだよ

いわれ無き偏見に対し、患者自治会は闘い続けた。
しかし、人間の業を見せつけられ、奪われてしまったものはいまだ取り戻せてはいない。
現在、全国15カ所の療養所には「元」患者さん約4500人が入所、
入所者の平均年齢は74歳になろうとしている。

偏見は無知の産物であり、無知は情報隠匿の結末であるという。

いつの時代にあっても、改めて再認識させられる。

医療者が「最前線で、患者とともにあること」の難しさを
色平さんにメールは mailto:DZR06160@nifty.ne.jp

2001年05月04日(金)萬晩報主宰 伴 武澄

 福島県郡山市のARU・安積ライスファーマーユニオン代表の安藤嘉雄さんからメールが届いた。安積と書いて「あさか」と読む。筆者はここからときどきコ メを送ってもらっている。コメの宅配便にはいつも安藤さんが書いた「産直だより」が入っている。季節ごとの農作業や国が抱える問題などをワープロで打ち込 んだものだが、平易な文章ながら核心をついた読み物となっている。きょう届いた産直だより「安積野」72号を転載したい。

 ●産直だより「安積野」平成13年5月号=第72号

 今年の冬は何十年ぶりの大雪で、3月末日まで雪が降っていましたが、4月になると一転して雨(雪)が降らなくなってしまいました。3月20日過ぎに一時 畑が乾き、ジャガイモの種を蒔ける時期があったのですが、時期を逸してしまい雨と雪に降られてしまいました。4月に入るとイネの苗作りに忙しく私たちを当 てにせず、母が2、3日一人でジャガイモの種まきをしてくれました。

 3月末の降雨(と雪)前に播種した種芋は順調に発芽しましたが、4月になって蒔いた種芋は、生育が遅れています。十分に根が伸びる前に日照りにあってし まったようです。まだ正式な発表はありませんが、この辺では、4月は観測史上最低の降水量になってしまいそうです。大雪を喜びつつも苦しみ、春先の雪に困 惑し、今度は日照りに困っています。

 幸い安積野は、猪苗代湖の豊富な水に恵まれ田んぼの水には困りませんが、同じ郡山市でも、東部の阿武隈山系は水不足で、田んぼの代掻きが出来そうもあり ません。5月になって早々にある程度の雨が降らないと困る地域が出てきます。天候の振れが大きすぎて、農家は大変困っています。今後の天候に期待するしか ありません。

 ●セーフガード

 ところで、3月号で取り上げたセーフガードがいよいよ発動される運びになりました。ネギ、シイタケ、イ草の3品です。私は同じ農業者として喜んでやりたいところですが、疑問でなりません。セーフガード(緊急輸入制限)は3年間までは許されるようですが、今回はとりあえず200日だそうです。

 一定量を超える部分に高い関税をかけるだけですので、市場価格をどれだけ引き上げられるのか疑問に思いますし、200日で(3年でも)経営改善できるのならとっくに出来ているはずです。まあ、わずかな時間チョット一息といった程度のことです。輸入農産物を減らして食糧自給率を高めるには、抜本的な対策が講じられなくてはなりません。

 一度離農したり、なくなった産業を復活させるのは容易なことではありません。もっと危機感を持って真剣に取り組んでいかないと、国民の食糧にも不安を持 つ国になってしまいます。いや、現に危機的な状況なのに気付かないしのか無視しているのか・・・、とりあえずこれ以上さらに自給率を低下させない方策をと らなければならないことが望まれます。

 ●自民党総裁選

 さて、今月号では小泉内閣の誕生について、私なりの感想等を述べてみたいと思います。今回の自民党総裁選では、最初の頃はほとんどの人が橋本元総理大臣 が勝つのではないかと思っていたのではないでしょうか。もちろん橋本さんが勝つことを望むからではなく、望まないが数の論理から橋本さんが勝つという見方 が大半でした。しかし結果的には、地方の票が予想を遙かに超えて小泉さんに集まりました。

 自民党員だけの選挙ですが、政治家よりも一般大衆の方が良識があることを裏付けたように思いました。小泉氏に対する支持の理由は二つあると思います。一 つは、橋本派(=経世会)支配に対する嫌悪です。小泉氏の言う派閥に左右されない政治に対する期待というところでしょうか。二つ目は、財政再建だと思いま す。景気回復最優先で赤字国債を乱発し続ける姿勢に国民が「ノー」という答えを出したのではないかと思います。

 多くの経済評論家が景気が良くなりさえすれば国の財政は良くなると言っていますが、赤字国債を乱発しなくとも景気は良くなると思います。国も企業も財務 体質を良い状態に保って堅実な経営に心がけたら、好景気は早くやってきますが、赤字国債で支えられる見せかけの景気保持作を続けていては、いつまで経っても企業の体質強化が図れないですし、国の財政赤字が景気の足を引っ張ってしまいます。景気など所詮バブルに過ぎません。

 伸びそうな国に世界中の投機資本が集まって、株が上がり見かけの資産が増加し利益が生まれ、所得が増えたり新たな投資が行われたりと、経済が良い方に回 転するだけです。世界の投機資本(現在は海外に投資されている日本の資本も含め)に無視されている間は、悪あがきせず、質素倹約に勤め体質改善を進めて じっと耐えている方が早く景気の流れを呼び戻すことになるはずです。

 一般国民の感性は、鋭くそのことを見抜いています。だからこそただ一人財政再建を訴えた小泉氏に人気が集まったのだと思います。小泉氏の人気にはその他 にも様々な理由があるでしょうが、細川政権の時と同じく、期待されただけで無惨に砕けてしまうようなことにならないことを祈りたいものです。

 小泉氏の党三役や閣僚人事には、選挙の時の主張が見られますが、最初にどんなことを言うのかと思っていたら、憲法九条を変えるのには期が熟していないから、総理大臣を直接選挙で選ぶように憲法改正をやりたいなどと言っていました。

 確かに、現在のように自民党内での多数派工作で選出されるのはほとんどの国民が納得していませんが、ヒトラーや横山ノックのような人物が選ばれてしまう 危険性は否めません。そこまでいかなくとも、減税など、目先の人気取り政策を公約にする候補者が乱立することでしょう。政治家の人間的本質ではなく、演技力やタレント性で選ばれる可能性も高くなってしまいます。

 そこで今回の自民党の総裁選を参考に、日本独自の選挙制度を考えてみてはどうでしょうか。

 (1) 立候補できるのは国会議員と各県知事のみとする。
 (2) 国会議員と各県知事は各一票の投票権を持つ。
 (3) 全選挙民の投票により、国会議員と各県知事の総数と同じ数を比例分配する。

 というような方法はどうでしょうか。

 どこかの段階で上位二~三人に絞り込むことも必要でしょうが、こんな方法なら民意も反映できますし、衆愚に対する危惧も取り除かれるのではないでしょう か。この「安積野」紙上で叫んでいても何とも致し方のないことですので、インターネットでも使ってどこかに投書でもしてみようかと思います。まあ、私ごと きが考えることなどとっくに議論されているのかも知れませんが、お金もさしたる手間もかかりませんのでやってみることにします。

 いよいよ田植えの季節です。忙しさに拍車がかかりますが、秋の豊作を夢見て頑張ります。消費者会員さんからのご意見やご感想などお待ちしています。お気軽にお寄せ下さい。(産直だより「安積野」平成13年5月号=第72号)



 おいしい福島の産直米は安積ライスファーマーユニオンから

 〒963-0126 福島県郡山市三穂田町山口字前芦ノ口98
 安積ライスファーマーユニオン代表  安藤嘉雄
 申し込みはメールまたはTEL 024-953-2780 FAX 024-953-2781

 安藤さんにメールはmailto:aru@oregano.ocn.ne.jp

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