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               平岩 優(ライター&エディター)

2010092409313519.jpg 日本でも再生可能エネルギーの買取制度がようやくスタートしたが、先進するヨーロッパではこんな話がまことしやかに喧伝されている。

 スコットランドでは、現在、スコットランド民族党が地方議会で多数派となり、英国からの分離独立運動が再燃している。独立後、そのスコットランドの屋台骨を支えるのが、洋上風力発電だというのだ。スコットランドでは、1960年代にも、沖合に北海油田が発見されたことで景気がよくなり、独立機運が高まったことがある。風力発電は電力を生むばかりではない、かつて盛んだった同地の製造業を再生する梃子になると期待されているのだ。

 そうした話が飛び交うほどに、いまヨーロッパでは、各国の洋上風力発電プロジェクトが目白押しだ。とくにその先頭を走っている英国の動きは突出している。

 つい最近、日本風力発電協会を訪れ、壁に張られたヨーロッパのウインドファームの分布図を見て、驚いた。英国の洋上ウインドファームといえば、ノースホイル(60MW)、世界最大といわれるサネット(300MW)などが知られているが、地図上の英国周辺海域にびっしりと開発計画エリアが書き込まれていたからだ。

 ラウンド3と呼ばれる英国の巨大プロジェクトの開発区域は9つで、開発が完了するのは2020年である。総事業費約13兆円、風車の数約7000基、総発電能力32GW。関西電力最大の大飯原発3号機の出力が1.18GWであるから、ざっと原発32基分に匹敵する。

 ヨーロッパでは1986年のチェルノブイリ原発事故後、デンマーク、ドイツから風力発電が広まっていった。1990年代後半には、陸上が飽和状態となり、風力発電の建設が洋上へ波及する。中でも、英国では地域住民の反対にあい陸上での風力発電の建設許可が得られず、早くから官民をあげて洋上風力発電の基盤整備に乗り出した。たとえば英国では風車を建てる大陸棚の所有権が王室にあり、利用するためには王室の資産管理を行なう機関とリース契約しなければならない。そして2001年にはラウンド1(1.5GW)が、2003年にはラウンド2(7.1GW)のプロジェクトがスタートした。

 英国以外でもドイツが2030年までに北海・バルト海に25GWの洋上風力発電を、オランダは2020年までに6GWの洋上風力発電を計画している。ちなみにドイツでは電力の16%を賄う再生可能エネルギーのうち風力が4割を占める。風力先進国デンマークでは電力の約26%が風力で賄われている。またスペインでも電力の約16%が風力由来であるが、2012年4月16日早朝には全消費電力の60%以上を風力発電の出力が占めたという。

 ヨーロッパを中心に多くの風力発電プロジェクトにコンサルタントして関わるGLガラードハッサン社の日本法人社長、内田行宣氏は「2011年、ヨーロッパで建設された風力発電のうち洋上風力発電は1割だが、2020~2030年には5割に達する」と予測する。

 風力発電の部品は1万点以上といわれる。風力発電が産業として成り立つためには、風車メーカーだけではなく、タワー、発電機、ベアリング、制御装置、さらにそれらの素材となる鉄鋼、FRPなどサプライチェーンが必要となる。内田氏は「洋上風力発電のサプライチェーンは成長期に入り、産業段階に移行した」と断言する。

 そもそも当初は陸上の風車をそのまま洋上で使用したが、整備・保守を容易にするために改良されたり、障害物がないので5MW以上の大型化が可能となるなど、洋上向けの風車が続々開発されている。また、水深5~10メートルの沿岸部には適地が少なくなり、現在、開発は沖合の水深50メートルの海域に移行している。そのため、工法も海底に円柱形のモノパイル基礎を打ち込む方式から、トライポッド(三脚)による着床式などに移行している。さらに深い海域でも可能な浮上式風力発電の実機による試験もノルウェー、ポルトガルで行なわれている。

こうして洋上風力発電市場が形成される中で、斜陽化した造船所が買収されて、トライポッドの製造・積み出し基地に再生され雇用を生み出すなど産業の新陳代謝も活発だ。深い海域の建設作業にも対応できる専用船舶や風況を簡易に計測するシステムも開発されている。

 ヨーロッパではEU指令により、2020年までに域内の消費電力の20%を再生可能エネルギーで賄う計画であり、もはや後戻りはない。

 そういえば、先日、日本の風力発電のメッカの一つである長崎県のメンテナンス事業者が全国の風力発電所から受注しているという話を聞いた。早くからグリーンエコノミーの掛け声ばかりが目立つ日本。再生可能エネルギーの導入に弾みがつくかどうか、最後の正念場を迎えている。

 世界最大の洋上風力発電所、サーネット・オフショア・ウィンド・ファーム。英国南部のケント沿岸にて。2010年9月23日(ロイター)

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 5月25日、ドイツでの太陽光発電が22ギガワットに達し、同国での昼間のピークの半分を発電したのだそうだ。驚くべきニュースだ。東京新聞が5月29日夕刊で報じたことを某ブログで知った。Googleで検索すると時事通信が26日のロイター電を翻訳して28日に流していた。

 もちろん瞬間風速値であるから、同国の電力使用量の半分を賄ったということではないが、ロイター電によると、ドイツの再生可能エネルギー関連シンクタンク、国際経済フォーラム再生可能エネルギー(IWR、本部ミュンスター)のディレクター、ノルベルト・アルノホ所長は「先進工業国の一つが平日(25日)に電力需要の3分の1、工場やオフィスが休みの土曜(26日)には半分近くを太陽光発電で賄えることが示された」と話しているという。

 右のグラフはいささか古いが各国の太陽光発電の能力の推移を示したもの。2009年で10ギガワットに達し、その後も太陽光発電の設置スピードを加速させている。二番目がスペインで三番目が日本のグラフだ。重要なのはドイツは「ドイツの太陽光発電装置の能力は11年に7.5GW増え、さらに12年第1四半期(1~3月)に1.8GW拡大して、合計26GWとなった」ということである。15カ月で原発9基分の発電装置を増強しているのだ。日本は福島原発事故からちょうそ15カ月経つがどれほど再生可能エネルギーが増強されているのだろうか?

 また日本の他のメディアはどうなっているのだろうかという疑問を持たざるを得ない。日本社会がガラパゴス化していると多くの識者が指摘してきたが、海外で起きている電気通信やエネルギー技術の変化がほとんど伝えられて来なかったメディアの責任は大きい。また、海外に住む多くのビジネスマンや官僚たちにセンサーが欠如しているのか、本社や本省にそうした報告がなされたということも聞かない。

【参考】
22 Gigawatts of Solar in Germany on May 25
A new world record
Eric Wesoff: May 29, 2012

/http://www.greentechmedia.com/articles/read/22-Gigawatts-of-Solar-in-Germany-on-May-25/

ニュースリリース(ドイツ語)
http://www.renewable-energy-industry.com/business/press-releases/newsdetail.php?changeLang=de_DE&newsid=4168/


太陽光で原発20基分 ドイツ 過去最高2200万キロワット発電

2012年5月30日 東京新聞夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012053002000226.html

 【ベルリン=弓削雅人】ドイツの太陽光発電能力が、五月二十五、二十六日に原発二十基分に相当する過去最高の二千二百万キロワットに達したことが、同国の再生可能エネルギー研究所(IWR)の調べで分かった。好天の影響だが、同研究所のアルノッホ所長は「過去にこれほどの太陽光発電をした国はない」と指摘している。欧米メディアが伝えた。

 同所長は、工場やオフィスが稼働した平日(二十五日)で電力需要の三分の一を、休みの土曜(二十六日)では、ほぼ半分を太陽光発電で賄えることが実証されたと強調した。エネルギー業界の調査では、同国の昨年の発電量に占める太陽光の割合は約3%。

 ドイツは、東京電力福島第一原発事故を受け、二〇二二年までに国内十七基の原発を全廃する脱原発政策を決定。再生エネの電力比率も、現在の約20%から二〇二〇年に35%まで引き上げる計画だ。太陽光発電の能力も昨年までの二年間で約千五百万キロワット増強し、計二千五百万キロワットとしている。

 ただ、太陽光発電は従来の電力買い取り制度が、安価な中国製発電パネルに対抗する競争力向上を妨げている上、電力価格の上昇につながるとの指摘が政府内で噴出。メルケル首相は三月、太陽光発電への補助の大幅削減を連邦議会(下院)で可決させた。しかし、連邦参議院(上院)は、太陽光発電メーカーの破綻を招き、エネルギー転換が進まなくなるとの立場から削減を承認していない。

 小さな記事が今朝の日経四国版に掲載されていた。高知市の電気工事会社が、ゴルフ場跡地にメガソーラーを建設するというニュースだった。発電能力は2000kw。一般家庭600世帯の電力を賄う規模だ。投資額は6億円。買い取り価格を1kw時=40円で換算すると年間9600万円の売上を想定している。営業経費がどれほどかかるか分からないが、投資に対して10%近い利回りとなる。

 これからは筆者の妄想である。まずクリーンエネルギーであることを歓迎したい。次にこんな太陽光発電設備が高知市に100カ所誕生すれば、30万市民の電気がほぼ賄える計算になる。高知市は現在、市庁舎の建て直しや高知県と図書館の建設を計画している。二つ併せて数百億円規模とは思えない巨額投資である。6億円×100=600億円で高知市全域のエネルギーを賄えるのなら、市民としてどちらを選択するかだろうか。

 お金がなければ、市民ファンドを募集すればいい。10%近い利回りは魅力的だ。高知以外からの投資も、歓迎すればこの程度の金額を集めることはそう難しいことではない。資金運用に苦悩している年金のお金だって使える。

 各地の自治体が同じような発想で動き出せば、あっという間に原発などはいらなくなる。国やシンクタンクが打ち出す自然エネルギーの将来予想はあまりにも発想が貧しい。素人でも考えられる小さくとも簡素なエネルギー源をたくさん建設する発想はパソコンの普及と大して変わらない。高知市の電気工事会社の太陽光発電設備の価格を逆算すると、1kw当たり30万円。家庭用のものの半値である。

 そうそう、高知市内には空き地があり多くのコイン駐車場がある。どこもけっこう繁昌している。その屋根を利用する方法もある。コイン駐車場に太陽光発電を併設すれば一挙両得となる。みなさんどう考えますか。
yusuharawindmill.png 高知市から車で西に2時間ほど走った山間に檮原町がある。龍馬脱藩の道として知られるようになり最近、観光客も増えてきた。この町はエネルギー自給の町としても知名度をあげ関係者による視察が引きも切らないというのだから、面白い。

 10年ほど前から「エネルギーの地域内自給と資源循環」を目指してきたから先見の明があった。風力、小水力、太陽光発電に加えて、間伐材を加工したピレットという燃料の使用も奨励している。

 全国自治体の中でダントツの補助金を支給しているのが太陽光発電。1kw当たり20万円。3kwという平均的発電システムだと60万円にも及ぶ。これに国の14万円、高知県の10万円を加えると8
4万円にもなる。3kwのシステムは安いものだと150万円からあるからほぼ2分の1のコストで導入できることになる。今年から始まる「買い取り制度」が導入されれば、家計を潤すことにもなりそうだ。

 風力発電は北部の四国カルストに600kwの風車が2基立っている。風力発電は風の強さが左右する。つまり稼働率。全国平均が20%であるのに対して、ここでは30%。1・5倍の効率で発電する。4億4500万円を投資したこの2基の発電機は毎年4000万円を稼ぎ出す。「買い取り制度」導入後はこの稼ぎがさらに3倍増する計算となる。そもそも建設は1999年10月の建設だから、コストはほぼ償却しているはず。年間60億円の町政からみれば大きな収益源となる。

 檮原はエネルギーの自給だけでなく、町政のあり方を一変させるかもしれないポテンシャルを持っていることになる。
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 お酢のミツカンの広報誌として最近とみに注目を集めているのが「水の文化」。最新号は「小水力の底力」がテーマ。3.11以降、脱原発の対する国民的意識の高まりから、自然エネルギーが再評価されている。

 小水力はダムに依存しない小さな水力発電を随所に設けて、エネルギーの自給を図ろうとする試みである。昔の水車は臼を回したり、田圃への水利のためにあったが、ほとんどが電力やディーゼルに置き換わってしまっている。水の流れの高低差を利用すれば発電できることは小学生でも分かること。その小学生でも分かることをやっているところが各地にある。

 水の文化の編集部は今回、水が豊富な高知県を今回の取材対象にした。高知県小水力発電協議会の事務局長の古谷桂信さんが、県内を案内しながら、その可能性を探った。NHKの高知放送局でも同じような趣旨の報道特集を放映したから、
梼原町の経験をテレビで見た人も少なくないと思う。

 筆者も安芸市の農業用水路のドンドと香南市の兼山水路の取材に同行させてもらった。農業用水は水利権が土地改良区に属しているため、発電設備の設置にややこしい手続きがいらない。一般河川であると国や自治体が管理しているからとてもめんどうなことになる。古谷さんの説明では、一般的に段差が1メートルあって水量が毎秒1トンあれば、7kwの発電が可能。つまり普通の家庭2軒分の電力がまかなえる。

 1トンは1立方メートルだから、大した量ではない。たとえば3メートルの段差の水路で毎秒3トンあれば、63kwで18軒分。小さな集落ならそれだけでエネルギーの自給が可能となる計算だ。1000人規模の村であれば、15カ所つくれば、村全体でエネルギーが自給できる。小さな村であればあるほど、エネルギー自給が容易であることが分かる。

 国や県にやさせれば、フィージビリティー・スタディだとかいって調査会社に膨大なお金をかけることになり、コストが合わないという結論が出ることは目に見えている。要は地元の創意工夫で何とでもなる。こんな話を聞いたこともある。

 発電機は一つひとつが特注のものだから小さなものでも数千万とかするが、逆転の発想で汎用のモーターを使えば多少効率が落ちてもその10分の1のコストで購入することができるそうだ。水力を生み出す水車やプロペラは、村の鍛冶屋につくらせれば安くでできる。肝心なのは「やってみなはれ」の精神であるという。

 みなさん、どうお考えですか。

 水の文化 http://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no39.html
2030cost.jpg 日経新聞の12月6日一面トップ記事によると、「政府のエネルギー・環境会議が電源別の発電コストを試算する「コスト検証報告」の原案が5日、明らかになった。原子力は事故費用などを加味し、1キロワット時あたり最低でも8.9円と2004年の試算に比べ約5割高くなったが、なお液化天然ガス(LNG)並み。太陽光は30年までにほぼ半減するものの、割高な状況は変わらない。新試算を踏まえ、政府は最適な電源の組み合わせを示す「ベストミックス」を柱とする新たなエネルギー基本計画を来夏までにまとめる。」

 日経新聞が掲載したエネルギー環境会議の試算の問題は「送電コスト」が含まれていないことである。以前、東電の広報部の人に聞いた話では、福島県から首都圏に送電するコストは発電コストに匹敵するし、仮に下北半島から送電するとなるとその何倍ものコストがかかるということであった。遠隔地に発電所を置く原発と基本的に屋根のおく太陽光とでは発電コストのみを比較しても意味がないということである。

 表のように太陽光の発電コストがキロワット時あたり30.6-16.4円であるとすると。これは屋根の上にあるから送電コストはゼロ。原子力の場合、同8.9円はで送電コストを加えると太陽光とおまり変わらない水準となる。本来のニューズの価値はここらにあるのではないかと考える。

 また、エネルギー環境会議の試算には営業経費や点検費用は含まれていない。個人が太陽光を屋根の上に設置する場合には、営業費など間接コストが一切かからないということも加味すれば、太陽光発電は将来、原発より相当安いエネルギー源になりうることを示している。そうはいえないだろうか。


 構想日本の西田陽光さんと都内でトークショーをした。テーマはNPO向け「発信力アップ講座」。何を話したから忘れたが、受講者の一人が西田さんの「発信力は情熱」という一言に痛く感じ入って「鳥肌が立った」といっていたから、なかなかいい「発信」だったに違いない。

 帰り際に西田さんから冊子をいただいた。故高木仁三郎「科学の原理と人間の原理-人間が天の火を盗んだ-その火の近くに生命はない」。原発の恐ろしさに ついて警鐘を鳴らし続けた碩学だった。この冊子を読後に岩波新書『プルトニウムの恐怖』(1980年)も併せて読んだ。30年前から原発や放射能の危険に ついて語っているが、この冊子の方が分かりやすく、危機感が迫るものをもっている。高木さんが残した人類への遺言でもある。

 高木さんによると、地球は宇宙の星のくずから誕生したもので、もともと放射能の塊だったものが「46億年かけて冷めてきて、ようやく人間や生き物が住め るくらいまで放射能が減ったもの」なのだそうだ。だから「宇宙に生命生命はいないと思う。それくらい地球というのは特殊な条件なのだ」。

 その特殊性について、「水の存在」もさることながら、「放射能に対して守られていることが大きい」と指摘する。そんな特殊性があるにも関わらず、「せっ かく地球上の自然の条件ができたところに、人間が天の炎、核というものを盗んできてわざわざもう一度放射能を作ったのが原子力なのだ」という。これまでの 反原発論者が語ってこなかった部分ではないかと思った。
 だから高木さんは、原子力こそが「プロメテウスの火」なのだと強調している。「地球上の人間の原理の中で許さ れる科学技術とそうでないものがあることをちゃんと知る必要がある」ことにも言及している。臓器移植については「明らかに今までの人間の自然な死とか生命 と番う原理を持ち込んでいる」と批判している。臓器を取り替えることができるようになると「手が悪いとなれば手を取り替え、・・・足も、臓器も・・・全部 取り替えて、その人は同じ人間なのかという問題にぶつかる。西洋的な考えでは脳だけ元の人の脳だったらあとはどこを取り替えても元の人ですよ」ということ なのだ。

 人間の生命に関しては、そもそも「生命は核(原子)の安定の上に成り立っている。原子力はまさに核の安定を崩すことによってエネルギーを取り出す技術。ここに一切の原子力の問題がある」とする。

 放射能の恐ろしさについてこんなことも語っている。原発の指先ほどのペレットを燃やすと一軒の家が年間消費する電力を生み出すほどエネルギー効率がいい のだが、燃えた後に残す「死の灰」は5万人の人間を殺すことができる放射能を持っている。そしてその放射能は数百年たってようやく安全な元素に落ち着く。

 46億年かかって静まった放射能を人間は武器としてはともかくエネルギー源として「不可欠なもの」として「復活」させてしまったのである。問題は原子力 の火は決して消すことができないことなのだ。原子力を制御できるかどうかが現代科学の課題になっているが、高木さんに言わせれば「封じ込める」ことはでき ても「その火は消せない」のだ。放射性物質が放射能を出さなくなるまでには最低で数百年、そもそもこの地球は46億年もかかったのだという高木さんの警鐘 にわれわれはもっと早く気づくべきだった。(伴 武澄)


 エネルギーを自給できる村をつくれたら、と漠然と考えていたことがある。そんなことができるならそこの村長になりたいとも考えた。

 そんな村が四国に現存していることを知ってびっくりした。というより、戦前にはそんな村をそこかしこのあったのだということを再認識させられたという方が正しい。

 エネルギー自給の村は旧別子山村。市町村合併で現在は新居浜市の一部となっている。別子山は江戸時代から住友 が銅山を経営していたところ。日本有数どころか世界的銅鉱山だった時期もある。廃鉱となってから30年以上がたつが、昭和34年、地元の森林組合が別子山 発電所と小美野発電所を建設・経営し、村に電力を供給していた。別子山村では四国電力の送電線は一切なく、村独自の電力体系を持っていて、余った電力を四 国電力に売っていたのだ。

 筆者がエネルギー自給村をつくりたいと思ったのは、まさに別子山村のような村をつくりたかったからである。山村の資源は森林と観光しかないのではなく、水からエネルギーを生みだして、"商品"として販売することも可能なのだ。

 賀川督明さんが関わっている「水の文化」28号に小林久茨城大学農学部准教授はこんなことを書いている。

「30戸規模の集落が発電機を入れて、自分たちの電力をまかなうケースを想定してみましょう。1軒の家庭が1年間で消費する電力は5000kwhぐらいで す。ということは1軒につき1kwの発電設備でまかなえますから、30軒で30Kwの発電機があればいいわけです。仮に1kw100万円として30世帯で 3000万円集めて初期投資し、あとは維持管理のコストを見ておけば採算は取れます。こういう集落が増えたら、不足分が出たり余ったりしたときにお互い融 通しあえばいい。小さな集落がお互いに融通し合うことで、自立していけることが私の描く農村の理想図です」

 実は30kwの出力は軽自動車のエンジンでも優に出せるエネルギー量なのである。洗濯機や冷蔵庫の中古のモーターを水車で回したらどうなるか。モーターは発電機そのものであるから問題はない。

  こんな発想で村を経営したらおもしろいのではないだろうか。村に鍛冶屋が復活して、童謡の「村の水車」のようなことになりはしないか。たぶん3000万円よりずっと安く村の発電所が実現しそうだ。
ずっと考えていたことが何か手に届くところにあるような気がしてきた。

 2008年2月発行の『水の文化』(ミツカン水の文化センター)28号は「小電力の包蔵力(ポテンシャル)」がテーマ。小林久茨城大学農学部准教授が「エネルギー自立型から供給型へ」という論文で報告していた。
 http://www.mizu.gr.jp/kikanshi/mizu_28/no28_d01.html
小美野水系 吉野川水系銅山川 発電方式 水路式 許可出力 1,000kW 完成年月 1959年10月
別子山水系 吉野川水系銅山川 発電方式 水路式 許可出力 71kW     完成年月 1954年3月
 中国の自動車市場が日本のそれを上回って2年、ついに昨年はアメリカのそれをも抜いて、さらに弾みをつけている。13億の民が住んでいて、すでに1億人は日本並みの生活水準を享受しているのだから、当たり前といえば当たり前すぎる話なのだ。

 日本が3位に落ちた、それを甘んじるのかという議論がある。それを「脅威論」として捉える方がおかしい。いずれインドも同じ方向をたどるだろう。明治こ のかたアジアに誇りを求めてきたのではなかったのか。20世紀という時代がおかしかったのだと捉えれば、何も不思議はない。再び中国に教えを請う時代が やってくるのかもしれない。日本人はそんな覚悟をいまから備えておかなければならない。
 特に注目されるのは上海自動車集団。GMやフォルクスワーゲンと提携し、2009年は57%増の272万台を 生産した。今年は300万台の生産を目指しており、一気に世界のトップ5に食い込む勢いだ。独自ブランドの売上台数は少ないものの、中国市場の急拡大に応 じて技術力を蓄積することは確実。(伴 武澄)

自動車、中国シフト進む 09年8社生産、初めて米超す【日経新聞1月25日】
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100126ATDC2500525012010.html
 国内自動車メーカーの生産・販売に占める中国の比重が急速に膨らんでいる。トヨタ自動車など乗用車メーカー8社が25日発表した2009年の生産・販売 実績によると、8社合計の中国での生産台数が初めて米国を上回った。販売でも日産自動車では中国が日本を抜いて米にほぼ並んだほか、ホンダは日中が同規模 になった。中国メーカーや欧州勢を交えた競争が激化する中、中国戦略の成否が各社の業績を大きく左右する。
 日産の中国販売は前年比38.7%増の75万5千台で、トヨタを抜き日本勢で最大となった。日産にとって国別では最大の米市場(77万台)にも肩を並べ る規模だ。志賀俊之最高執行責任者は「中国でのシェアはまだ10%未満で、引き上げを目指す」と規模拡大に意欲をみせる。
 ホンダの中国販売は21%増の58万2千台で、前年並みの日本(62万5千台)に迫った。一方、トヨタ自動車の中国販売は70万9千台と21.1%増えたが、米国の177万台、日本の137万5千台とはまだ開きがある。 (01:09)

自動車生産能力、中国10社が12年に2100万台 供給過剰の懸念
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100124ATGM2302C23012010.html
 【北京=多部田俊輔】中国で自動車の新工場建設計画が急増している。外資との合弁事業を展開する企業だけでなく、自主ブランドメーカーも生産を増強。上 位10社で2009年に約1200万台だった生産能力は12年には7割増の約2100万台に達する見通し。09年の新車販売台数が08年比46%増の 1364万台に達し世界最大となった中国市場でのシェア拡大が狙いだが、生産能力過剰に陥る恐れも出ている。
 中国最大手の上海汽車集団は12年の年産能力を09年比3割増の360万台まで引き上げる。同社は米ゼネラル・モーターズ(GM)、独フォルクスワーゲ ン(VW)と合弁事業を展開。減税などで農村での販売台数が急増した小型車を中心に生産能力を大幅に増やす。 (07:00)

中国最大手の上海汽車、09年新車販売57%増の272万台
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20100106AT2M0502R05012010.html
 【上海=下原口徹】中国の自動車最大手である上海汽車集団は5日、2009年の新車販売台数が前年比57.1%増の272万4635台に達したと発表した。同社は09年10月に中国初の200万台メーカーとなったばかりだが、10年は一気に300万台超の販売を目指す。
 09年の合弁企業別の販売台数は、米ゼネラル・モーターズ(GM)などと小型商用車を生産する上海通用五菱汽車が約106万5000台でトップ。独フォ ルクスワーゲン(VW)と組む上海大衆汽車と、GMと「ビュイック」や「シボレー」などを生産する上海GMが約73万台で並んだ。
 一方、上海汽車の自主ブランドである「栄威」「名爵」の販売台数は同2.5倍に達したものの、台数は9万台にとどまった。上海汽車は10年に「栄威」ブ ランドでハイブリッド車を投入することなどにより、来年は自主ブランド車を18万台まで倍増させる計画だ。(01:28)

  「直流ハウスでエネルギー革命は可能か!?」を書いたのは2005年1月6日のことである。三重県 に住んでいたころ、中部電力の燃料電池システムの実証装置をみせてもらった時ひらめいたのである。現在の電力会社からの配電される交流からの変換ロスと、 太陽電池発電などからの交流への変換ロスがそれぞれ6%あることを知り、直流ハウスをつくれば少なくとも12%の節電、すなわち、二酸化炭素の排出も同じ 率で削減できるというものだ。結論はだれか「直流ハウス」をつくってくれませんかというものだった。  ようやく世の中が萬晩報に追いついてきたことが嬉しい。シャープが「DCエコハウス」の開発に乗り出し、パナ ソニックも今後の家電開発として「直流」がキーワードとなっている。パナソニックの構想で面白いのは家庭内で直流と交流を使い分けるという発想だ。もう一 つ直流家電製品の電圧として12-48ボルトで駆動させるという考えだ。なぜなら乗用車のバッテリーは12ボルトでトラックが24ボルトだからである。



 パナソニックは直流と交流を「使い分ける」と言っているが、考えてみればキャンピングカーにはあらゆる家電製品が搭載されていて、すべて直流で動くよう になっている。テレビだって、クーラー、冷蔵庫だってすでに実用化されている。外形を家庭用につくりかえるだけで、直流ハウスはいますぐにも可能なのであ る。

 仮に12ボルトとから24ボルトに規格が統一されれば、電子機器ごとに入っている「電源」が不必要になる。パソコン回りにはパソコン本体、液晶パネル、 プリンター、モデム、外部スピーカーなどの電源とコード類がクモの巣のような配線になっている。また携帯電話や電子カメラなどの充電器のたぐいも"電源 コード"をそのまま機器につなぐだけでいいはすである。これがすっきるするだけでも暮らしは明るくなる。(伴 武澄)

 【技術フロンティア】太陽電池生かす「直流」 【日経ビジネス】
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090428/193297/

 直流ハウスでエネルギー革命は可能か!?
 http://www.yorozubp.com/0501/050106.htm

 エジソン時代の直流・交流論争
 http://www.yorozubp.com/0501/050107.htm

 究極の分散型電源は燃料電池車
 http://www.yorozubp.com/0501/050108.htm
 燃料電池車の開発が最終段階に入っている。自動車のエンジンをばかにしてはいけない。カローラクラスで100馬力のエンジンは当たり前だが、馬力を電力に換算すると約75キロワット。

 1・5トンの車体を自在にあやつるにはそれだけの馬力が必要だということだが、平均的家庭の電力が3キロワットといわれているから、1台の乗用車が民家25件分の発電能力を持っているということでもある。
 仮定の話だが、日本には自動車が8000万台ある。それぞれが25件分の発電能力を持っているとすれば、掛け 算で20億件分ということになる。これはすごいことなのだ。現在、日本人が保有する自動車だけで、日本の10社の電力会社の総発電能力をすでにかるく上 回っている。

 自動車はエンジンを回して発電機を回さなければ電気は生まれないが、燃料電池車の場合は燃料電池そのものが「発電機」だから、これを家庭や職場の電源につなげるとまさにほとんどの国でエネルギー問題は解決する。そんな潜在力を持っていることを知らなければならない。

 このアイデアは小生だけのものではない。文明評論家のジェレミー・リフキンが書いた『水素エネルギー ハイドロジェン・エネルギー・ウェブ(HEW)』(2003年、NHK出版)の中にすでにある。

 孫引きだが、財山法人道路新産業開発機構が発行する『季刊・道路新産業』によるとその構想は次のようなものである。

「水素を燃料とする燃料電池は、個人が自分のために利用できるばかりでなく、送電線を通じて、余剰の電力を他社に提供できるミニ発電所である。化石燃料時 代のエネルギーの流れが中央集権的で一方的であったのに対して、水素エネルギーの時代にはエネルギーの流れは双方向になる。分散型で双方向である点におい て、燃料電池のネットワークはインターネットのウェブと全く同じである」

「分散型発電設備の中で興味深いのは車である。リフキンによれば、一般に乗用車は一日の96%は駐車している。その時間を利用して、家庭やオフィス、商業 用の双方向電力ネットワークにつなげば、電力ネットワークに、無公害の高品質の電力を供給できる。電気を売った収入は車のリーズ料や購入費用にあてること ができる」

 ここまで聞いて単なる傍観者でいられるだろうか。このHEW構想によって筆者は持論の「直流ハウスによるエネルギー革命」にますます自信を深めざるをえない。

 燃料電池ではないが、トヨタのハイブリッド車であるプリウスやエスティマには家庭用の100ボルト交流を取り出せる差し込みプラグが備わっているのをご 存じだろうか。 電力会社を刺激しないようあえて大きく宣伝はしていないが、トヨタはすでに自動車を家庭用電源として使える構想を進めているのだ。(続)
 2007年12月20日、経産省が白熱球の生産・流通中止を求めたニュースに接して、「白熱電球廃止策に思う」と題してコラムを書いた。環境問題に端を発した施策であるにしても「禁止」というのはいささか無謀だと思ったからである。

 今日の多くの紙面に「LED電球 パナソニック参入」というニュースが掲載された。エジソンが電球を発明してから130年目にあたる10月21日に発売するという。

 LED電球は耐久性や経済性に優れていたことが分かっていたが、価格が高かった。このため、使途は交通信号や自動車のテールライトなどに限定されてい た。それが、今年3月、東芝が1万円、6月シャープが4000円で参入すなど参入企業が相次ぎ、ほぼ大手企業が出そろった。

 東芝、パナソニックは元々、電球をつくってきた企業だが、シャープや三菱化学は初参入である。発光ダイオード(LED)はそもそもが半導体と製造工程が似ているから、異業種からの参入がたやすいという特徴がある。

 LED電球は消費電力が白熱球の8分の1。耐久性は40倍といわれる。白熱球の小売価格は100円程度だから、40倍の価格でもコストに見合うことにな る。これから価格競争が激しくなる。10年前、40万円も50万円もしていた液晶テレビの価格が短期間で半値以下、3分の1ぐらいまで下がってきたことを 考えれば、需要拡大は一気に加速するはずだ。

 家庭の電気消費のかなりの部分を占める電球がLEDに置き換われば、それだけで5%内外の二酸化炭素削減につながる。鳩山由紀夫次期首相はすでに 2020年までに日本の二酸化炭素排出量を25%削減すると公約した。電気自動車の普及もコストとの競争となる。LEDの場合がまもなく普及期に入ること は確実だ。鳩山さんの公約に追い風が吹いている。(伴 武澄)

  明治20年(西暦1887年)11月21日、東京電燈会社がこの地(東京都中央区日本橋茅場町1丁目、トレストイン日本橋前)にわが国初の発電所を建設 し、同月29日から付近の日本郵船会社、今村銀行、東京郵便局などのお客様に伝統の供給を開始いたしました。これが、我国における電線による最初の電燈供 給でありまして、その発電設備は直立汽缶と30馬力の横置汽機を据付け、25キロワットエジソン式直流発電機1台を運転したもので、配電方式は電圧210 ボルト直流三線式でありました。
投稿日 : 2005/01/07(Fri) 11:02
投稿者 : 樋口大奉

> モーターはもともと直流の方が力が強い。新幹線だって直流モーターを回して
>いる。直流モーターを使えば、エネルギー削減はさらに大きくなる。2割、3割
>の削減が可能になるかもしれない。
>
> 将来的にエネルギーが分散型発電時代になることは容易に予想される中で、す
>べての家電製品が直流で使えるような「直流ハウス」の開発を提言したい。

エジソンが直流配電論者であったのは有名な話です。
それでどちらが優位にあるかは、その時点で実用性のあるテクノロジーによって
大きく影響を受けます。
実際問題として、現在の大規模な発電設備は外部エネルギーを回転運動にしてから
これで発電機を廻して電力を生み出しています。
この場合には発生するのは正弦波であり、直流発電機はこれをブラシによる整流を
行っていました。自動車ではかってこの方式の発電機を持っていましたが現在では
半導体整流器の利用により全部交流発電になっています。

モーターが直流のほうが力が強いと言うのも必ずしも正確ではありません。かっては
速度とトルクの制御が比較的簡単との理由で直流電動機が使用され、簡単で耐久性が
あることから誘導電動機が用いられてきました。
しかし、本当に効率の良い運用を行いたい場合には現在は交流電動機が用いられて
います。新幹線も「のぞみ」以降のモデルでは車両の軽量化のために誘導電動機を
用いていますし、発進時のトルクと減速時の回生制御が重要な近郊鉄道でも誘導
電動機が使用されています。
さらに電気自動車、ハイブリッド自動車も交流の同期電動機(かっては力が弱いので
電気時計にしか用いられなかった)が使用されています。これを可能にしたのは
半導体による大電力用のスイッチング素子でかっての水銀整流器による大きさや動作
速度の制約を受けない高度な制御によって任意の周波数の交流を容易に発生させる
ことが可能になったためです。

そこで、では配電をどうするかの問題ですが、現実に都会地に有効に配電するには
やはり現在のインフラが確立されている低周波の交流しか解はないようです。
但し、遠距離の一対一の送電には直流のほうが有効な場合もあります。太陽光発電
の変換効率については、発電電圧の低いことが本質的問題で、これを安定した電圧
にするにはどうしてもスイッチング損失は避けて通れません。

しかし、現在の家庭に沢山ある各種装置の直流アダプタの不統一と見苦しさは困った
もので、携帯機器の一次、二次電池の種類とともに大変な資源の無駄遣いであり、
このあたりは12/24/28/48のどのあたりかで統一することが急務だと考えます。

タイトル : Re^2: 議論に値するテーマか?-続き
投稿日 : 2005/01/10(Mon) 13:58
投稿者 : 樋口大奉

内燃機関による自動車でも、その最大出力を用いるのは加速時だけで、実際にはずっと
少ない出力しか用いてなくて(第一、最大出力を長時間利用できるような過剰な設計を
まともなメーカが行うはずもない)、しかも駆動系統での損失などで実際にはそんなに
走行に出力は有効に利用されていません。
電気自動車やハイブリッド自動車は電池やキャパシタによって瞬間の大出力をカバー
する(電動機は過負荷でも熱容量で温度上昇をカバーできれば無理はききます)ので
実際の発電能力は巡航時に必要なエネルギーを発生する程度で良く、多分10KW程度に
設定されているのではないでしょうか?(それでも大変なことですが)

燃料電池に関係しますが、現在ではリチウムイオン二次電池の後塵を配して一世代前の
ものとされているニッケル水素二次電池はその構造からして水素を燃料とする燃料電池
です。小規模なシステムでは水素を金属化合物とすることは水素ボンベよりも小型で
安全に水素を貯蔵できるからです。しかし水素ガスから急速に水素化合物に転換する
手段(エネルギー損失を少なく)はあるのでしょうか?

ニッケル水素二次電池の改良を進めているメーカは恐らく燃料電池に将来を見据えている
のではないかと思います。
もう一つの問題は、できるだけ損失の少ない(順方向の電圧降下の少ない)電力用の
半導体素子の開発で、電圧が低い場面でのエネルギー変換には0.2Vや0.3Vの電圧降下でも
損失への割合が馬鹿にできなくなっています。
面白いことに、高性能のマイクロプロセッサも電圧が低下し、電流だけがやたらに大きく
なっているので、この低電圧・大電流がこれからの電気・電子分野でのキーテクノロジと
なる可能性があります。

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タイトル : エネルギー分野の新技術動向は?
投稿日 : 2005/01/11(Tue) 06:08
投稿者 : 中村博昭
参照先 : http://www.saburai.com

この欄で、新エネルギーに関する議論が盛んですが小生も非常に興味を覚えます。各家庭に眠っている自家用車が、家の車庫に眠っている余剰時間帯にも、エネ ルギー源として活用できるとしたら素晴らしい。過日、技術士会・化学部会の月例講演会で元㈱本田技術研究所研究員、佐藤 登氏(工学博士)の話を聞く貴重 な機会を得た。新エネルギー分野で世界の最先端を走っているのは、やはり自動車業界である。特に新しい材料設計に由来するケミカルテクノロジーエネルギー 分野は、色々な革命的アイデアの宝庫である。機械、電気が専門の方は、一般的に数字に非常に強く、エネルギー効率等の見通しもシャープであるが、化学の分 野人たちは新規の材料開発を目指しており、装置・機械設計には余り強くないが従来の常識を超えた材料、システム開発に関する話を聞けそうである。この両者 が融合する分野に、人類の新しい光明が感じられる。技術士・化学部会の講演案内は、こちらをどうぞ。http://www.saburai.com/chem-group_page_1.htm
  シャープは2008年9月1日,同社の新製品発表会で,太陽電池と二次電池を組み合わせた直流給電システムのコンセプト展示「ミニDCエコハウス」を公開 した。いまごろになってシャープの先験的試みを知ったのだが、この「DCエコハウス」という発想はどうやら同社の前社長の町田勝彦氏から生まれたようなの だ。

 シャープ町田勝彦氏のDCエコハウスに関する講演【ビデオ】

 経済産業省は2009年度予算でDCエコハウスへの補助金を計上した。
 グリーンIT推進協議会の設立(案)
 昨年10月29日に開かれた「FPD International 2008」で、町田氏が行った特別講演で三つのDCを取り入れた「DCエコハウス」を提唱している。第1のDCは「直流」。太陽電池などで発電した直流を そのまま家電製品で使って電力の変換ロスを減らそうということ。第2は「diminish CO2 emission」。つまり二酸化炭素を減らすこと。消費電力が減少すれば当然のこととなる。第3は「display centric」。テレビが家の中心にあるということである。

 第1と第2は筆者の「直流ハウス」と考えを同じにしているが、第3は液晶パネルメーカーとしてのシャープの我田引水でしかなく、いわば付録である。たぶん「三つの」に併せて考え出されたに違いない。

 要は、住宅で使用する電力をすべて交流(AC)から直流(DC)に置き換えることで,AC-DC変換時の損失を無くそうというものだ。太陽光発電システ ムで得られる電力はDCであり,家庭内で使用する民生機器のほとんどはDCで動作する。従って,太陽光発電システムが家庭やオフィスに導入されれば,AC 駆動の民生機器ではなく,DC駆動の民生機器の方が,電力を無駄なく使えるようになる。

 これに併せて、経済産業省は2009年度予算でDCエコハウス補助金を計上した。
 「直流ハウスでエネルギー革命は可能か!?」を書いたのは2005年1月6日のことである。三重県に 住んでいたころ、中部電力の燃料電池システムの実証装置をみせてもらった時ひらめいたのである。現在の電力会社からの配電される交流からの変換ロスと、太 陽電池発電などからの交流への変換ロスがそれぞれ6%あることを知り、直流ハウスをつくれば少なくとも12%の節電、すなわち、二酸化炭素の輩出も同じ率 で削減できるというものだ。結論はだれか「直流ハウス」をつくってくれませんかというものだった。

 直流ハウスでエネルギー革命は可能か!?
 http://www.yorozubp.com/0501/050106.htm

 しばらくこの「直流ハウス」のことを忘れていた。最近、「 日経エレクトロニクス」のセミナーで「直流給電のすべて-民生機器、IT機器、産業機器が変わる」というシンポジウムのお知らせ」が舞い込んだ。「世界各 国では1世紀以上に渡り,通信設備に-48Vの直流に対応した給電システムを導入してきた。近年、通信設備やデータ・センター以外でも直流給電システムを 導入する動きが加速」しているのだそうだ。興味はあるのだが、参加費が39800円とべらぼうに高いので参加は取りやめた。

 ネットで検索すると筆者の記事は「直流ハウス」で上位に出てくるし、「直流給電」で多くの情報が得られる。パ ナソニックやシャープは昨年来、「直流ハウス」の実証実験を始めているというから驚きである。いまからでは遅すぎるが意匠登録でもしておけばよかったと反 省している。

 4年半前、このことを中部電力の専門家に話したら、「直流は電圧の上げ下げが困難」と軽くあしらわれた記憶が蘇ってくる。すでに通信設備では1世紀前から「-48V」で給電するシステムが存在していたというから、専門家も知らなかったではすまされない。

シャープが直流電力を用いる「DCエコハウス構想」を推進
http://www.ecology.or.jp/w-topics/wtp23-0808.html
知っていますか? 直流給電への取り組み
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20081224/163276/

2005年01月08日(土) 究極の分散型電源は燃料電池車 伴 武澄
2005年01月07日(金) エジソン時代の直流・交流論争 伴 武澄
2005年01月06日(木) 直流ハウスでエネルギー革命は可能か!? 伴 武澄

 白熱電球が数年後には日本から消えるかもしれない。共同通信社が18日、独自ニュースとして配信した記事によると「電力消費が大きくエネルギー利用効率が悪いことから、国内での製造・販売を数年以内に中止する方針を打ち出す見通しとなった」。

 エジソンが白熱電球を発明したのが、1879年だから、それから130年である。すでにオーストラリアが廃止の方向性をうちだしている。家庭の電力消費 からみれば、電球が最大の消費源であろう。60W、100Wなど個々の消費電力は大きくはないが、数が多い。季節によるが半分近くになる時期もあるはず だ。

 白熱電球の製造・販売中止は環境問題に端を発する。蛍光灯という代替製品もあるから日常生活には困らないだろうが、政府が「禁止」という姿勢にはおもしろくないものがある。消費者が自ら選択をするのは自由だし、メーカーが製造を中止するのもけっこうだ。

 政府がもっと関心を持つべきは、「禁止」条項を増やすことではなく、太陽光発電や風力発電など石油代替エネルギー普及を励ますような政策に前向きに取り 組むことではないかと思う。デンマークは1980年代から国を挙げて風力発電を奨励、いまでは消費電力の10%以上を風力で賄うほどになっている。ドイツ も自然エネルギーの高価買い取りを電力会社に義務付けて久しい。結果、世界最大の太陽光発電設置国にのし上がった。日本で実用化した太陽電池がいまやドイ ツを象徴する環境政策のひとつとなっているのである。

 経産省は、戦後日本の産業を支えてきた中枢だった。90年代から業界育成から消費者保護に軸足を移したはずだった。白熱電球の禁止もよいが、同時に電力源についても自然エネルギー重視策を打ち出してほしかった。(紫竹庵人)
 友人のフリージャーナリストの宮本惇夫氏から近著である『シャープ 独創の秘密』(実業之日本社)が送られてきた。自慢めいた話になるが、2年ほど前の正月、シャープの三重県亀山市での出来事、つまり液晶事業の急拡大を予想し、「ちまたでは液晶テレビのことを亀山のテレビ」と言い出していることを伝えた。宮本氏が以前、シャープに関する本を書いていたことを思い出して「もう一冊書くべきだ」と薦めた。

 シャープは元々、早川電機といっていたが、その前身は「シャープペンシル」の発明者。家電製造に移行してからは関西家電の御三家の一角を占めていた。とはいうもののガリバー松下、そして三洋電機に次ぐ三番手に甘んじていた。売り上げこそは松下には及ばないものの、液晶事業を中核に「オンリーワン」経営を引っさげた利益率ダントツの企業に成長した。宮本氏の本によれば「世の中にないモノをつくり出す"秘伝のタレ"経営にみそがあるのだそうだ。

 巻末の町田勝彦会長が対談で、太陽電池の発電コストが「3年後には家庭用電力並み」になるとの自信を示していた。新聞記事ではまだ公表されていないすごい見通しだと思うので紹介したい。

「液晶の次は太陽電池と位置づけています。地球に降り注ぐたった一時間の太陽光をエネルギーに変換したとすると、地球上の人間が一年間に使うエネルギーをすべて賄うことができます。こんな有望なエネルギーは他にありません。現在、太陽光発電のコストは家庭用電力の約2倍と少し高いのが課題ですが、これも 2010年には家庭用電力料金並みの1kw時あたり23円、2020年には業務用電力料金並みの14円、2030年には火力電力並みの7円ぐらいになるのではとみています。すでに当社だけではなく、業界全体でこの目標に向けて動き出していますので、太陽電池は、今後たいへん大きな産業に成長するのではと期待しています。そうまると「世界中のビルのカーテンウォールをすべて太陽電池に置き換える」という私の夢も実現できるのではないでしょうか。」 (紫竹庵人)
2005年12月29日(木)
萬晩報主宰 伴 武澄
  永塚利一『久保田豊』(電気情報社、1966年)と日本経済新聞社『私の履歴書』の久保田豊を読んでいる。戦前、北部朝鮮を舞台にとてつもないスケールの 電源開発を行った人物である。戦後は日本工営という建設コンサルタント会社を設立し、日本の海外ODAのプロジェクトファインディング分野を切り開いた。

 当時の新興財閥である日本窒素の野口遵の資力をバックにしたとはいえ、昭和3年から同15年にかけて赴戦江など鴨緑江の3本の支流にダムを築き、流れと は逆の方向の日本海岸に水を落として73万キロワットという巨大な発電所を建設した。

 並行して鴨緑江の本流にも6個のダムを建設して400万キロワットの発電規模の電源開発計画を実施に移した。計画は完成の日を迎えることなく終戦となる が、鴨緑江の水豊ダムの70万キロワット発電所は完成し、いまも北朝鮮と中国東北地方に送電している。

 この計画の壮大さは昭和15年の日本国内の水力発電規模が280万キロワットであったことと比較しても理解できる。アメリカのルーズベルトがテネシー川 流域を開発した有名なTVA計画の発電規模はケンタッキーダムを含め9つのダムで110万キロワットであるから、水豊ダムは当時としては世界最大であっ た。70年を経た現在でも度肝を抜かれるような土木工事だった。発電機ひとつとってもすごかった。1機10万キロワットを7機並べた。10万キロワットは もちろん最大だった。東芝はこの発電機のために製造工場を新設するほど大掛かりなプロジェクトだったのだ。

 水力発電の建設には建設現場への鉄道や道路の敷設も必要だったし、山中であるからトンネルの掘削も必要となった。なによりも発電した電力を消費する産業 が不可欠だった。日本窒素の野口遵は興南の地に朝鮮窒素肥料会社を設立し、硫安のほかグリセリンやカセイソーダの製造を始め、その後、アルミニウム、マグ ネシウム、カーバイド、火薬その他あらゆる化学製品をつくる一大総合化学工場に発展した。

 TVAはアメリカという国家が威信をかけた事業だったのに対して、久保田の展開した事業は一個人の発想からスタート、民間の資金と技術で成し遂げたとい う点でも特筆すべきである。にもかかわらず、われわれは久保田の名前はおろか水豊ダムのことすら知らされていない。

 せっかく2冊の本を読んだので個人の備忘録として久保田が北部朝鮮でつくった水豊ダムの概要を記しておきたい。

 水豊ダム 鴨緑江の河口の新義州から80キロ地点。川幅900メートルに106.4 メートルの重力式コンクリートダム。湛水面積は琵琶湖のほぼ半分の345平方キロメートル。昭和12年着工、同18年すべての工事を完成。総工費5億円。 続いて義州と雲峰にそれぞれ20万、50万キロワット級の水力発電所建設に着手したが、完成を待たずに終戦となり、巨大なプロジェクトは半ばで中断され た。
2005年01月08日(土)萬晩報主宰 伴 武澄
 燃料電池車の開発が最終段階に入っている。自動車のエンジンをばかにしてはいけない。カローラクラスで100馬力のエンジンは当たり前だが、馬力を電力に換算すると約75キロワット。

 1・5トンの車体を自在にあやつるにはそれだけの馬力が必要だということだが、平均的家庭の電力が3キロワットといわれているから、1台の乗用車が民家25件分の発電能力を持っているということでもある。

 仮定の話だが、日本には自動車が8000万台ある。それぞれが25件分の発電能力を持っているとすれば、掛け算で20億件分ということになる。これはす ごいことなのだ。現在、日本人が保有する自動車だけで、日本の10社の電力会社の総発電能力をすでにかるく上回っている。

 自動車はエンジンを回して発電機を回さなければ電気は生まれないが、燃料電池車の場合は燃料電池そのものが「発電機」だから、これを家庭や職場の電源につなげるとまさにほとんどの国でエネルギー問題は解決する。そんな潜在力を持っていることを知らなければならない。

 このアイデアは小生だけのものではない。文明評論家のジェレミー・リフキンが書いた『水素エネルギー ハイドロジェン・エネルギー・ウェブ(HEW)』(2003年、NHK出版)の中にすでにある。

 孫引きだが、財山法人道路新産業開発機構が発行する『季刊・道路新産業』によるとその構想は次のようなものである。

「水素を燃料とする燃料電池は、個人が自分のために利用できるばかりでなく、送電線を通じて、余剰の電力を他社に提供できるミニ発電所である。化石燃料時 代のエネルギーの流れが中央集権的で一方的であったのに対して、水素エネルギーの時代にはエネルギーの流れは双方向になる。分散型で双方向である点におい て、燃料電池のネットワークはインターネットのウェブと全く同じである」

「分散型発電設備の中で興味深いのは車である。リフキンによれば、一般に乗用車は一日の96%は駐車している。その時間を利用して、家庭やオフィス、商業 用の双方向電力ネットワークにつなげば、電力ネットワークに、無公害の高品質の電力を供給できる。電気を売った収入は車のリーズ料や購入費用にあてること ができる」

 ここまで聞いて単なる傍観者でいられるだろうか。このHEW構想によって筆者は持論の「直流ハウスによるエネルギー革命」にますます自信を深めざるをえない。

 燃料電池ではないが、トヨタのハイブリッド車であるプリウスやエスティマには家庭用の100ボルト交流を取り出せる差し込みプラグが備わっているのをご 存じだろうか。 電力会社を刺激しないようあえて大きく宣伝はしていないが、トヨタはすでに自動車を家庭用電源として使える構想を進めているのだ。(続)

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