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2004年10月06日(水)萬晩報主宰 伴 武澄
 ネット・サーフィンもたまにはいいネタにぶつかる。大分合同新聞の7月1日に「きょうから本格運用/津久見市ADSL事業」という記事を見つけた。

 ADSLをやるということはプロバイダー(接続業者)になるということである。世帯数8500の自治体が遂にという思いがした。残念なのはこういうニュースが県境を超えることなく地域に埋もってしまうだろうことである。

 初期投資はたったの9300万円というのも驚いた。自治体の予算で出すので、あとは運用費だけである。市民に1450円(税込み・ADSLモデム、 NTT回線使用料を除く)というとんでもない格安価格で最大24Mbpsの高速インターネットサービスを提供できるのだ。

 自治体がプロバイダーに進出する効果は限りなく大きい。ADSLの場合、IP電話を導入すれば、市内の電話料金は完全無料となる。市内電話だけでない。 市外も通話も市内料金並みとなる。市民の電話料金負担は格段に軽減される。

 初期経費が9300万円だから世帯当たり1万円強でしかない。NTTの光ケーブルの敷設費14000円と比べてもとんでもなく安い。しかもそれを行政費の中でやってくれるのだから市民の負担はない。

 全国の自治体は津久見市に見習うべきだ。この程度の負担だったら住民税に上乗せしてADSLとIP電話を行政サービス化することだって可能だ。料金の徴収費用を考えれば、その方がコストが安くなる可能性だってある。

 大分合同によれば、津久見市は4月に試験運用を開始し、7月1日時点で約370件の利用申し込みがあった。本年度中に700件を目指しているということであるが、いずれ全世帯が加入することになるだろう。

 インターネットと市内電話が無料の自治体が誕生なんてニュースが近い将来見られるかもしれない。萬晩報はそのむかし、「団地で自家発電するという真夏の夜の夢」 というコラムを書いた。その通信版が生まれたことに拍手を送りたい。

 団地で自家発電するという真夏の夜の夢
 http://www.yorozubp.com/9908/990823.htm
2001年12月01日(土)萬晩報主宰 伴 武澄

「NTT株の売却益ってむかし景気対策で使っちゃったんじゃなかたっけ」
「俺もそう思う。この公共事業は1987年から始まって90年代前半に底を突いているはずなのに」
「そうそう。思い出した。僕が大蔵省で予算を担当した時、名前はNTTがついていたけど本当は国債を発行して財源を賄っていたんだ」

 第二次補正予算の財源として2兆5000億円のNTT株式売却益を公共事業に利用することが突然決まった。NTT株式の売却益はそもそも国債の償還財源 として位置付けられているはずなのにと、公共事業として使っていいものなのか。国民の多くは騙されたような気分になっているのではないだろうか。記者仲間 でも疑心暗鬼なのである。

 ●宮沢蔵相の錬金術

 NTT株式の売却益を利用した公共事業は87年度の補正予算で突然出てきた。確か日経新聞の特ダネだったように覚えている。当時の日本経済はプラザ合意 以降の急激な円高によってかつてない景気低迷を迎えていたが、景気対策を打とうにも財源がなかった。国民に「増税なき財政再建路線」を約束した土光臨調の 下で歳出は厳しく制限されていた。

 ある意味で財政の規律というものが自民党にもあった。160兆円という国債発行残高をどう減らすかが国民的課題だったのである。一般会計予算は一般経費 はマイナス5%のシーリングがかぶせられ、公共事業費は伸び率ゼロで6兆円を超えることはなかった。だから当初予算で国債の発行はたった6兆円内外だっ た。ちなみに小泉内閣の公約は30兆円である。

 そんな時に大蔵省はNTT株式を一次流用するというアイデアをひねり出した。本来、国債の償還財源と決められていたNTT株式の売却益はその時から、法 律改正によって一時的に公共事業の財源として流用できるようになった。宮沢蔵相(当時)は「5年とか7年とか借りるだけ。すごいアイデアだ」と絶賛した。 政府は「財源が続く限り継続する」と約束し、まさに「宮沢蔵相の錬金術」のように受け止められた。

 正式には「NTT株式売却益を活用した無利子融資制度」として87年度補正予算で4500億円が計上され、翌88年度の当初予算から1兆3000億円が 計上された。筆者は日本の財政が規律を失ったのはまさにこの「NTT公共事業」が登場してからのことだと思っている。その後、景気が回復基調に乗ってから もこの錬金術をやめることはなく、つい最近まで続いていた。

 ●またしても大蔵省の禁じ手

 NTTの株式売却は95年のNTT民営化に基づく措置で政府の持ち株の3分の2を放出することが決まった。87年2月の売却で2兆3000億円。97年 10月に約5兆円。88年10月2兆8500億円。NTT株は一時300万円を超えた後100万円台に急落するなど高値圏で乱高下したため売却は途中で頓 挫したものの、総計10兆1566億円というとてつもない売却益が生まれていた。

 景気回復した後にこの無利子融資制度を止めていれば、日本経済を救った救世主的存在として財政史に名を残したかも知れない

  問題はいったん計上した予算は減額できないという日本の予算制度にあった。止めるどころかバブルに向かって日本経済がブレーキを失った状態でも約10兆円のNTT株式の売却益を活用した公共事業は続き、7年後の91年度でついに財源が底を突いた。

 92年度は無利子融資制度を止める二度目のチャンスだったが、当時の日本経済はバブル崩壊と二度目の急激な円高期に突入しており再び大規模な財政出動が求められる場面に直面していた。

 なんと財源を失った「NTT」の名を冠した公共事業は国債を発行して続けられた。

 大蔵省が監修して毎年発行される「日本の財政」の「社会資本の整備」の項目に(注)として「NTT株式をめぐる市場環境等からその財源に確保が極めて困 難な状況にあったためNTT・Bタイプ事業の大半に一般財源(建設公債)を充当することにより、その事業を実質的に確保した」と淡々と記載してある。(事 業の詳細については次回報告する)

 この摩訶不思議な予算に対してマスコミも野党も糾弾しなかった。政界は自民党の瓦解が進み、政権交代が必至の情勢で国民の関心はほとんど財政には向かなかった。大蔵省は国民の関心の薄さをいいことにまたしても禁じ手を犯していたのだ。(続)

2001年08月16日(木)メディアケーション 平岩 優

 昨年、友人である画家が個展を開いた。大きなキャンバスの黒地の上に鮮やかなエメラルドグリーンの絵の具をこすり付けた連作は、黒い地の部分が闇のような奥行きを感じさせ、身体がその闇の中に滲んでいくような心地がした。

 友人は「IT、ITと言われるほどに、絵画の前に身を置くという一度だけの体験がますます貴重になる」と胸を張っていたが、私も同感だった。絵画の前に 立つことで、絵画とそれを見ている自分との間に往復運動があり、そこに濃密な時間が流れ、忙しい日常生活では感じとれない、自分が生きていることのリアリ ティのようなものに触れることができる。

 それはモニターの映像やメールのやり取りとも違うし、大画面の映像が包み込むようなテーマパークのアトラクションとも違う。自分と外界のものが浸透しあうような経験であり、そこから自分やものの実在の感触のようなものが残る。

 IT――情報通信の進歩だけではなく、飛行機や新幹線、高速道路など移動手段が発達したことで、私たちが確実に失っているものがあるような気がする。体 験というか、身体に刻みつけられるような外界との接触、経験である。高速道に乗れば、外の風景の変化を感じることなく目的地に着く。飛行機にしろ、まさに プロセスのない、点から点への移動である。外国に出張したビジネスマンは着いた空港からタクシーに飛び乗って、ビジネス街のオフィスに直行し、仕事が終わ れば同じコースを辿って帰国する。ほとんどバーチャル体験と言ってよいだろう。そして、経験が薄まれば、その分、自分の存在も希薄になる。自分が希薄にな れば、たぶん自分以外の他人の存在も、きっと希薄になるに違いない。

 江戸を舞台にした藤沢周平や池波正太郎の時代小説を読むときに、よく江戸時代の地図をひろげる。小説では、非常に正確に当時の地形や街並みが再現されて いることに感心するが、小説の登場人物たちがよく歩くことにも驚かされる。昔は人生50年などと言ったが、今のわれわれの50年など、昔の人の生きた50 年の密度に比べたら、すかすかのような気がする。

 森まゆみ氏の『一葉の四季』(岩波新書)によると、樋口一葉は生涯、浅草・本郷界隈から外にでることはなかったという。たった1度、日帰りで隣の埼玉県 の大宮に出かけたことが例外だ。一葉だけではなく、太平洋戦争前には、そんな人も珍しくなかったのだろう。ついこのあいだまで、本郷に住んでいて上野の山 の向こうに行ったことがない人もいたようだ。

 しかし、樋口一葉の『たけくらべ』、『十三夜』などを読めば、狭い土地での24年という短い生涯であっても、現実に直面し経験を刻みながら、自分の生の佇まいや暮らしの立ち行きをきちっと捉えていたことがわかる。本来、情報とはそのためのものではないか。

 何もITの進歩が悪いわけでも、情報機器がない方がいいと言いたいわけではない。先端的な学問もビジネスも、われわれの暮らしも最早、情報機器なしには 成り立たない。先日、ニュートリノに質量があることを発見し世界的に注目を浴びているカミオカンデプロジェクトの梶田隆章教授(東京大学宇宙線研究所)に お話をうかがった。が、カミオカンデという飛騨の鉱山の地下にある観測装置には、100台のユニックスのワークステーションがつながれている。観測装置で ある水槽に、ニュートリノは1日10個ぐらいしか飛び込んでこないが、ミューオンという宇宙線がたくさん降ってくる。このミューオンのデータが将来、役に 立つかもしれないという仮定にたち、毎日CDに換算すると3万枚分ぐらい記録されているという。今や、先端科学の分野などでは、こうした情報機器の利用は 当たり前であり、また、そうした地盤のうえで大きな発見がなされている。

 しかし、それでも情報機器はあくまでも道具でしかない。ところが、その情報機器を通して送られる情報を消費するうちに――いつのまにか、情報も消費されるようになった――情報に繰られて、われわれの生が変容してはいないだろうか。

 たしか子供たちの欲しい物の1位が自分専用の電話になったのが、80年代だった。親が30年ローンで購入した住宅には、子供部屋も確保された。その部屋 にはAV機器が並び、まるでコックピットのようだった。親たちからは「今の子は学校では友達としゃべらないで、家に帰ってきてから電話で友達と話をしてい る」という声が聞こえた。

 大学生になれば車を持つことが当たり前のようにもいわれた。車がなければガールフレンドができないというのだ。2人の世界から外界は閉め出された。

 そして、いま、電車の中でもどこでも、他人の存在など気付かないかのように、一心不乱にメールの文章を打ち込む姿が目に付く。単に遊びなのだろうが、渋谷で50メートルくらいしか離れていないのに、携帯電話でやり取りしている若者たちの姿がひどく空しく見えた。

 先日、大先輩のジャーナリストと久しぶりにお会いした。ヨーロッパや沖縄などに滞在して記事を書いた経験を持ち、いまは都市論の執筆の準備をしていると いう。その先輩が近ごろのメディアを「パソコンの前に座って、インターネットを使って書いたのか、あるいはその程度のレベルの記事ばかりだね」と評した。 そういえば、たまに見るテレビのニュースも、何の意味もない映像を垂れ流し、何の情報も得られないようなナレーションがそれに被せられているようなものが 多いのではないか。

 10年ほど前、居酒屋でシルクロードを旅してきたという、60年輩の未知の画家と、偶然隣あわせになったことがある。彼がいちばん印象に残ったのは「砂 漠の中に散らばっていた都市の廃墟」だという。「情報というのは怖ろしいいものですね。情報が伝わることでそれらの都市は騎馬民族に滅ぼされた」と。

 IT化といわれる現在だからこそ、情報とは何かをもう一度考えようと自戒を込めて思う。

 平岩さんにメールは mailto:yuh@lares.dti.ne.jp

2001年02月23日(金)   萬晩報主宰 伴 武澄

 有線放送大手の「有線ブロードネットワークス」(usen)が最近、光ファイバーによる毎秒100メガビットの高速インターネット接続サービス「ファイ バー・ツー・ザ・ホーム」(FTTH)を開始すると発表した。都内紙の扱いは小さかったが、これこそ日本を本物のインターネットの世界に導く画期的サービ スだと小躍りした。

 毎秒100メガビットという速度はISDNの1500倍。記憶容量がほぼ500メガビットの「CD」の内容を1分以内で送信できるスピードで、DVDで も10分以内だ。もちろんこれはあくまで「最大」の速度で多くの通信が同時に行われればその分スピードは低下するが、テレビと同様の動画が送れるというこ とはインターネットテレビの時代が到来することに他ならない。

 注目は並外れた通信の速さだけではない。使用料金を月額4900円とし、NTTの半分以下に押さえた。また世界で初めて個々の家庭にIPアドレスを割り 当てるということだ。少し専門的になるがIPアドレスというのはコンピューターに付けられた住所で、ドメイン名の基になる10数桁の番号。家庭で接続した コンピューターがそのままインターネットのサーバーに転化できるということになる。

 ホームページをレンタルサーバーに転送する手間が省けるだけでない。それこそ個々の家を月々4900円であっという間に放送局化にすることすら可能にし ている。もちろん24時間接続だから、FTTHの普及が進めばインターネット電話の普及も進み、家庭の固定電話が必要でなくなる日も近い。

 NTTは巨大は光ファイバー通信網を持ちながら、銅線によるISDN、ADSLと技術を小出しにしてきたばかりか、昨年から始めた光ファイバーによるイ ンターネットサービスでも10メガビットという低速接続からスタート。ブロードバンドの分野では消費者を愚弄するほどの技術の出し惜しみを繰り返してき た。

 有線ブロードネットワークスは、旧社名を「大阪有線」といい、かつては盛り場中心に曲を流したり、電話によるリクエストに応じてきた。1980年代から 光ファイバーによる400数十チャンネルの有線放送サービスを全国で展開。90年代以降に建設されたほとんどのマンションにはこの有線放送を導入。繁華街 だけでなく住宅地にも光ファイバー網を敷設して、これまでもNTT、電力会社に次ぐ光ファイバー網を保持する隠れた「IT企業」だった。

 NTTが技術を小出しにしてきたのはこれまで収益を生み出してきた自前の通信網の陳腐化が怖かったからに他ならない。ほぼ同時に固定電話のiモード版で ある「Lモード」を開始するなどというなんともちんけな発表をしている間にNTTにとって最も恐ろしい事態が非上場の民間企業によって成し遂げられたのだ から痛快である。宇野康秀社長は発表の席上、インターネット電話について「詳細は未定」と慎重な発言をしたがネット電話の本格実用化はそんなに遠い未来の ことではなさそうだ。

 FTTHのネットワークが全国に張り巡らせられることになれば、絵空事としか受け止められていない「5年後にIT分野で世界の最先端に躍り出る」という 森内閣のIT戦略が実現する可能性も出てきた。可能性どころかこの会社の強みは光ファイバー網を20年にわたり国内に張り巡らす経験を積んできた世界で唯 一の民間企業だったということだ。通信業界を支配するNTT・郵政族の動向はまだ不透明だが、よもやusenの可能性をつぶすような愚挙にでることはある まいと信じている。



 【読者の声】 本件で少し気になったことがありました。(後述)

 全体の主旨はまったくおっしゃるとおりです。NTTがあわてて値下げしたところをみても、 今までの価格は何だったんだ・・・というところです。

 政府の言うIT革命に評論家連中は何かとクレームをつけてます。まぁそうしないと食えない からでしょうが、私は政府に向けてのクレームは的はずれなことが多いと思っています。

 政府発表の「IT戦略」を一言で理解すると、通信インフラの整備と規制緩和です。政府の役割はこれだけでいいのですから(ホントはもっと重要なことがあるんですが、後述) 今の「IT、IT」の合唱は放っといてどんどんやらせればいいのです。

 米国がゴアのNII構想でFTTHを唱えながら日和ったのはコストです。メーターあたりの単価の高い光ファイバーは、無人の砂漠の多い米国の国土ではコ ストパフォーマンスが悪いんです。従ってXDSLなどのメタル通信技術が代替策として出てきました。国土が狭く人口密度の高い日本は、光ファイバーを敷く のに米国よりずっと有利な環境にあります。最も良い例はシンガポールです、光ファイバーの必要な長さはわずかなものでしょう。あそこなら、いずれ通信費は 何をやっても全部タダになるでしょう。

 もっと重要なこととは、国家安全保障上の戦略がこの通信分野に全く見えない。暗号化、システム・セキュリティ、通信危機管理対策に具体的政策がないということです。

 (ただ光ファイバーは盗聴がもの凄く難しいのです、従ってさっさとFTTHをやるのは有効です)

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> 2001年02月23日配信の「usenから始まる究極のネットワールド」の内容
> でビットとバイトを誤認する間違いがありました。お詫びして訂正します。
> 1バイトは8ビットです。また「100メガビット」というusenの伝送速度は
> 「最大」で多くの通信が同時に殺到すればその分、伝送速度が低下するのは現
> 在の電話線による通信と同様です。以下「差し替え訂正版」を配信します。
> ----------------------------------------------------------------------

 電送速度の低下について通常はこのようになりますが、この会社の発表内容もベストエフォ ートとなってますがかなりの確度で100Mを確保できるようです。技術的に突っ込んで聞 いてみたいので仮申し込みをしてあります。

 集合住宅での高速サービスでLAN方式を商品にしているところもありますが、この方式は セキュリティ上極めて危険です。(ケーブルTVも似たところがあり、セキュリティは甘くなります)サーバーやハブなど障害要素も多くなってるのでお奨めできません。

 また、100Mに対応するためにはISP(プロバイダー)のサーバーエンジンにもの凄い負荷がかかります。大変な設備投資資金が必要になるのでプロバイダーの淘汰が本格化するでしょう。当面はこのサービスに入ると同時にプロバイダーも変えることになるでしょう。

 有線ブロードネットワークスは、旧社名を「大阪有線」ですが、 大阪有線の時代にはかなり評判が悪かった。無断で電柱を利用して配線をしていて、監督官庁の注意にもそっぽを向いていたためかなり厳しい目で見られていました。

 数年前、現社長(二代目)になってから、社会的にもまっとうな姿勢になることを経営方針として打ち出していましたので、現在は大丈夫になったのじゃないでしょうか。(大塚寿昭)


2000年07月20日(木)
萬晩報主宰 伴 武澄


 NTTドコモがサミット参加者にドコモの携帯電話を無料で3000台貸し出すことになっているそうだ。「世界に冠たるiモード」を宣伝するためということだが、外国人がすぐにコギャルのようにキーをたたいてメールができるか不安である。

 サミット参加者といえば多くは政府関係者かジャーナリスト。政府系企業であるNTTの子会社のドコモがNGOの人々に端末を貸し出すことは考えられない。iモードが彼らの口コミで世界に広げれば安い投資である。

 だが破たんした衛星携帯電話のイリジウム・システムでは初めからプロバイダーサービスを付加してインター ネット接続を可能にしていたし、地上の携帯でもニュースや天気予報、株価情報から映画のチケット予約までできる端末がないわけではない。iモードが日本発 の世界標準だなどと考えては間違いの元になる。

 それよりも多くが海外からやってきたジャーナリストたちが持ち込んだ端末が日本で一切、使えない現実に直 面することは確実である。海外との「ローミング」機能ないという日本の携帯事情が世界に報道されるマイナスイメージの方が気掛かりだ。特にヨーロッパやア ジアの国々ではGSMという100カ国以上で使える端末が普及しているため「なんで」という疑問を抱くに違いない。

 国を越えて端末が使えるということが常識となっている携帯電話の世界で、一番重要な機能を無視して子供だましのような機能ばかりを付加して「将来のグローバルスタンダードだ」などとはしゃいでいる日本の携帯電話事情は理解できないと思う。

 ●ローミングは携帯端末の貸し出しという非常識

 シリコンバレーに住む八木博さんがちょっと前に教えてくれたジョークがある。NTTの用語で「ローミン グ」というのは「海外の携帯端末を成田空港で貸し出す事業」のことだというのだ。これがジョークならばただ笑い飛ばしていればいい話であるが、真面目なの だからことは深刻だ。

 以前に「国際標準」をうたい文句に売り出したIDOグループの「cdma-One」の矛盾について萬晩報 で書いたところ、各国に住む読者から多くのメールをいただいた。今月からアメリカとのローミングを開始したということになっているが、当時「日本の空港ま でしか使えない日本の携帯電話は旅行中にはただの重いプラスチックの箱」といった不満が並んでいた。

 世界で働く日本人は100万人がいる。これに海外出張者を含めるとどう考えても150万人という日本人が GSMというヨーロッパ生まれの便利なシステムの恩恵に預かり、日本の携帯電話の不都合さを嘆いているはずなのである。そのなかにはNTTの社員もNEC など通信業界のビジネスマンも少なくないはずだ。

 彼我の通信事情の違いを熟知している日本人が数万の単位でいるというのになぜ、日本の通信事情だけが井戸の中の蛙でいられるのか不思議で仕方がない。


 【萬晩報】07月08日 (土)「徳政令乱発いざなうそごうへの借金棒引き(1)」は(2)(3)の続編を準備していたが、突然の「そごう倒産」で使い物にならなくなった。いずれ 別の形で書きたいと考えていますので、しばらく猶予をください ▼とっとり総研の中野さんがカナダのとある都市で石川県のテレビ会社の社長と出会い懇談中、この社長の萬晩報の読者だということを知ってびっくり。だが二 度びっくりしたのはその隣にいた日本人の紳士が「よろず」という二人の会話に入ってきて、なんと萬朝報を創設した黒岩涙香の孫だと自己紹介したことだった そうです▼アメリカ政府はクリントン大統領が20日に東京で予定していた日米首脳会議を飛ばして、21日直接、沖縄のサミット会場入りすると発表しまし た。
2000年03月31日(金)萬晩報主宰 伴 武澄


100年前、「電話の番組表」というのがあったそうだ。オーストリア・ハンガリー帝国の首都、ウィーンでの 話である。「プレジャー・テレフォン」という事業があったという。アメリカのグラハム・ベルが電話を発明したのは1876年だが、創生期に電話がどのよう な使われ方をしたのか実はわれわれはよく分かっていない。

 ●プレジャー・テレフォン

 「プレジャー・テレフォン」事業は、テレビはおろかラジオという言葉もない時代に貴族の邸宅と劇場を専用回線で結んで娯楽番組を「配信」していた。当時のヨーロッパにはコインを入れると音楽やニュースを聞くことができる「電話装置」もあったというから驚く。

 今様にいえば、インターネットそのものである。

 長いこと、電話回線は個人と個人とをつなぐメディアで、電波はマスのメディアの領域だった。インターネットの登場によって1990年代に、この境界がなくなり、単なる電話回線が「IT革命をもたらすネットワーク」に大きく変身したと考えられている。

 だが果たして電話回線は変身したのだろうか。そんな疑問をもっていたところに「100年前の電話番組表」 の話を知って、われわれの思考が100年間、停止していただけなのだと合点した。思考が停止していたのは多くの国で電話回線が国家管理に置かれていたから からなのだろう。そんなことも考えた。

 ●解かれた国家独占の呪縛

 「電話回線」の面白活用が始まったのは、各国での電話電信会社の民営化と付合している。これは偶然ではな い。インターネットの始まりは1960年代のアメリカでの軍事情報の分散管理にあると説明されているが、本当のところは、電話回線が国家の呪縛から解かれ たところにインターネットの原点がある。

 国営電話会社の民営化の背景にはもろもろの事情がある。アメリカはAT&Tという民間企業が電話事業を行っていたが独占事業で、ほかの先進国の国営とあまり変わりのない運営だった。回線の利用には多くの規制があった。

 その間に、多くに民間企業が独自に「専用回線」を持つようになっていた。公衆回線の料金が高すぎたため、1980年代後半には電話料金がかさむ多くの大手企業にとって専用回線の利用が不可欠になり、衛星を利用した回線の使用も進んだ。

 国家独占の市場にいつのまにか「専用回線」という形で多くの民間企業が参入する形態が出来上がっていたといってもいい。

 4、5年前に電気通信の専門家に「民間の専用線ってのはひょっとしたらNTTに匹敵する通信容量をもって いるのではないか。第二電電を含めればNTTなんてマイナーになる可能性がある」と質問したことがある。答は分からないということだったが、電力会社、 JR各社、民鉄は大規模な光ファイバー網を持つし、大手事業会社や商社は衛星も含めた巨大なネットワークを持っている。

 問題はその巨大な通信回線が容量的にも時間的にも十二分に活用されていないということだった。ここでもわれわれは「NTTの独占」という偽りの情報に惑わせられていた。NTTが独占していたのは「最後の1マイル」と呼ばれる「市内回線」だけだったのである。

 ●半額になってもおかしくない市内回線料

 ここにも大きな幻想があった。2年前に郵政省は「公-専-公」という通話を開放した。つまり民間の余っている回線の両端を公衆回線につないで金儲けをしていいということだった。公衆回線とは市内回線ということである。

 これを利用すると国内に専用回線網を持つ企業はみんな電話会社の長距離線を使わずに、外部の顧客と通話が出来るはずだった。背景にはいかに多くの専用線が無駄に使われないまま放置されていたかという日本的問題があった。

 しかしせっかくの「公-専-公」開放というチャンスだったが、その後、「公-専-公」でもうけたという話は一切聞こえてこない。多くの企業が参入したものの、市内回線への接続料があまり高く、メリットはなかったということのようである。

 日本は通信革命で出遅れたといわれているが、光ファイバーの敷設が遅れているわけでもなんでもない。その原因をたどると「市内回線」の高さにたどり着く。

 インターネットの利用でNTTの市内回線の利用は倍増しているはずである。電話は回線に微弱な電流が流れているだけで、回線の利用に応じてコストが増えるわけではない。倍増しているならば、利用料金は半額になってもおかしくない。3倍増ならば3分の1で済むはずである。

 日本ではNTTの呪縛が続くのである。


 1999年07月01日 NTT再編(1)--不揃いの人員配置
2000年02月01日(火)THINK JAPAN主宰 大塚 寿昭


 Windows2000は間もなく膨大な広告宣伝費を使って大々的に世の中に出てこようとしている。もう 既にプレリリース版を入手されて使ってみている方も多くいるだろう。このWin2000の発売を機に、今日のコンピュータやネットワークの状況を王者マイ クロソフト社の行く末と共に考えてみた。要点は以下の2点である。

-Windows95からWindows2000まで既に5年も経過していながら、エンドユーザーインターフェースの改善に殆ど進展が見られないこと。これは、ビル・ゲイツの怠慢であり、市場独占の弊害でもある。

-Windows2000はWindowsNTの焼き直しでありコンシューマーユーザー にとっても、ビジネス・ユーザーにとってもどっちつかずの中途半端なものである。従ってコンシューマーは離れ、ビジネスユーザーは採用しないという事態に なりマイクロソフトは凋落への道を辿る。

 ●ビル・ゲイツの怠慢

 コンピューターがユーザーである"人"と接するところ(動作の指示を受けたり結果を表 示したり)の機能をエンドユーザーインターフェースというが、このエンドユーザーインターフェースはコンピューターが一般社会の生活の基盤となるための最 大の鍵となるものである。コンピューターにはシロウトの一般人にとって使い易く、安心して使えるものでなければ生活の必需品になることはできない。

 現在のパソコンを自動車と比べてみると、自動車は動く仕組みや構造を知らないシロウト でも安全に動かすことができ、立派に用を果たすことができるが、パソコンは未だとてもその域に達しているとは言えない。シロウトが四苦八苦してマニュアル と取り組んでも、自動車のように自由に安全に動かすことはまだ出来るようにはなっていない。

 この観点から、パソコンは未だ発展途上にいる未完成の状態であると言うことができる。今日オジサンや主婦が使えないのはもっともだと思えるし、もっと若い人達でも自由自在に使いこなしている人は少ないと思う。

 現在のハードウェアの基本的な構造は暫くは革新的なものにとって変わられることはない と思えるので、この点でハードウェアに多くを期待することは出来ないだろう。むしろオペレーティング・システムに代表されるソフトウェアが、シロウトであ るエンドユーザーに使い易さと安全性の機能を提供する役割を果たす必要がある。なかでもオペレーティングシステム(OS)が果たすべき役割は大きなウェイ トを占めている。

 シロウトである一般の人々に安心して使ってもらうためには、このOSのエンドユーザー インターフェースを改善し、内部の信頼性設計をもっと高めて行く努力が必要である。しかしながら、世界シェアの90%を占めるといわれるマイクロソフト社 のWindowsはWindows95からWindows2000までのこの5年間にエンドユーザーインターフェースについては殆ど進歩が見られない。

 パソコンのハードウェアのテクノロジーや、ブラウザーなど他の周辺ソフトウェアのテクノロジーの進展ぶりに比べると、明らかに変わりばえのなさが目に付く。

 現在のパソコンの使われ方はどうかというと、確かにインターネットが急速に広がってお り5年前に比べるとかなりの普及度であるということはできる。マスコミも大騒ぎしているが、パソコンがなくとも日常生活が困ることにはまだ至っていない。 マスコミとユーザーの意識のギャップはかなりあるように思われる。

 最近ではデジタル家電などの情報が氾濫し近未来の家庭像としてあらゆるところにデジタ ル化(コンピューター化)されたものが入って来ると言われているが、今どこの家庭にもあるテレビや洗濯機のようになるには、今後相当の信頼性設計や稼働環 境への耐用性、そしてもちろんエンドユーザーインターフェースの機能を向上させる必要がある。

 コンピューターシステムのプロとして長く仕事をしてきた筆者の観点では、コンピュー ターを理解して自由自在に使いこなすには、自分でプログラムを書いてそれをコンピュータ上で実際に動かすという経験をしなければならない、その経験のない シロウトはいつまでたってもコンピューターの本質的なところは理解出来ないと考えている。

 例えばコンピューターを動かしている途中、モニターに表示されてる内容と、メモリーの 内容、ハードディスクの内容がある時点ではそれぞれ異なっているが、そんなタイミングでシステム障害が起きてしまったら、シロウトには状況判断すらできな い。まして正しい回復手段をとることは不可能である。

 筆者は、だからシロウトが使ってはいけませんと言っているのではない。提供する側の努力がもっともっと必要であると言いたいのである。

 Windowsは3.1から95にかけて多くの新しいユーザーの獲得と世界シェアの拡 大という成果を生み、そのシェアは90%にも達し今なお膨大なユーザーを獲得し続けている。ところがここまで述べてきたように、エンドユーザーインター フェースは殆ど改善されてきていない。これは、90%のシェアを握り新規ユーザーもインターネットブームのおかげで増え続けてきた市場に甘えてきたマイク ロソフトの怠慢であり、市場独占の弊害であると筆者は考える。

 コンピュータシステムのプロを任ずる筆者は本来提供する側に居るわけだが、その立場にあっても現在の状況はエンドユーザーに対して提供側の尊大さすら感じる。(あなたがたシロウトはもっと勉強しなさいよ、とでも言っているような)

 提供する側はユーザーが全てを理解しなくても自動車のように自在にそして安全にシロウトでも使えるようにするための改善の努力を懸命に始めなければ、やがて市場にそっぽを向かれることになるだろう。

 ●Windows2000はマイクロソフト凋落の予兆

 まず、コンピュータを人間を補助する道具の一つであると捉えると、人類の歴史とまで大 げさに言わなくてもごく近代に発明された人間を補助する道具としては、自動車、電気洗濯機、テレビなど枚挙に暇がないほど数多くの道具を挙げることができ る。これらの道具によって人類はその暮らしを大きく改善することができた。またこれらの道具は少し働けば誰でも手に入れることができるし、誰でも便利に使 いこなすことができるものである。

 コンピュータの発明も人類にとって偉大なものであるわけだが、誰でも手に入れることはできても、今はまだ誰でも自由自在に使えるところまで来ていないことは前項で述べたとおりである。

  ただ現在のデジタル化の進展の勢いは、もう誰も避けて通れない日が近づいて来ている ようである。その中心となるコンピュータはを使うためには、ビジネスの場面で使うのであれ、家庭で使うのであれ必ずコンピュータの仕組みを勉強し、OSを 動かすための一定の勉強をすることが要求される。

 本来ビジネスの場面で使う場合、そのビジネスの用途に合った機能が提供されていれば良 いのであって、OSがどうしたとかハードの違いがどうしたとかは使う人間にとって本来余計な要素であり、ビジネスマンが本来の仕事を効率よくこなすために は、今のコンピュータは全体の生産性を考えるとむしろ足を引っ張ってるウェイトが高いように思える。(あるリサーチ会社の最近の調査で、コンピュータを導 入してもオフィス部門では殆ど生産性効果が得られてないという結果が発表されてもいる。)

 家庭の中を考えてみても同様であると言うことが出来る。電源を入れれば主婦なら主婦の 用事ができるための画面が最初に出てきて、そこの機能メニューから選んで自分の用事をさせることができるようになっていれば良いわけであり、OSの画面が 最初に出てきても、それは余計な作業になるわけである。

 最近はポータルサイトといわれるものがこの要求に応えようとしてインターネットの世界 で出始めているが、十分な状態になるには未だ先は長いように思える。また、日本の家電メーカー系の売り出しているパソコンにはキーボードのワンタッチキー でインターネットに繋ぐことができるハードウェアが発売されたりしているが、これはインターネット接続までの操作の煩雑さを改善しており、エンドユーザー にとってはたいへん有り難い機能である。

 彼らメーカーはエンドユーザーを知っていればこそ、こうした機能を付加してきたのだと思う。(これはマイクロソフトがやったのではなく、日本の家電メーカー系のやったことである)

 結論としてどういう方向に進めば良いかと言うと、ビジネスユーザーにはビジネスユー ザー向けの、コンシューマーユーザーにはコンシューマーユーザー向けの、それぞれに適したポータルサイトのようなものが電源を入れたらそこに出て来れば良 いのである。つまり、ビジネスとコンシューマーでは各々異なるメニューが提供されることがより自然であるということである。

 ところが間もなく発売されるWindows2000はビジネスユーザーとコンシュー マーユーザーとの両者を一つのOSで対応しようとするものであり、それぞれのユーザーのどちら側にも中途半端となるかあるいは余分な機能があるかというこ とになり、どちらにとっても不満を残すものになるだろうと思う。

 筆者だけの穿った見方かも知れないが、ビル・ゲイツがネットワークの重要性を言い出し たのは98年の春のことであるし、ビジネスユーザーが大切と言い出したのは99年2月のことである。Windows2000はWindows NTをベースに作られたものと言われているが、NTを採用した背景にはビル・ゲイツのビジネスユーザー重視の意識が大きく影響しているものと思える。従っ てWindows2000は本来ビジネスユーザーを対象に開発されて来たものではないだろうか?

 ところが、コンピュータのマーケティングでは一般的に、大きなシェアを持つ製品が一旦 飽和点に達すると、急速に売り上げは減少するものである。膨らんでしまった組織を維持するためには、次々と後継製品を出し続けて行かなければならない宿命 のようなものがメーカーには突きつけられている。Windows98はそろそろ飽和の時期に入っており次を急ぐ必要があったのであろう。

 この稿を執筆中の2000年初頭に2つの大きな出来事があった、一つは、インテル社が 独自のネット端末を製造販売する、そのOSはWindowsではなくLinuxであるということを発表した。今日パソコンの世界で最強と言われてきていた ウィンテルの組み合わせに、わずかではあるが綻びが見え始めたということである。

 もう一つはビル・ゲイツがマイクロソフト社のCEOを退き、CSA(Chief Software Architecturer)に就任するということが発表された。これは、筆者には単なるパフォーマンスのように思えてならない。というのも、マイクロソ フト社は創業期以来一度も創造性を発揮したことはないというのが、業界プロたちの間の一般的な評価として定着しているからである。

ちなみに、今誰でも当たり前のように見ているWindowsの画面は GUI(Graphical User Interface)と呼ばれ、一昔前の文字や数字だけのコンピュータ操作画面に比べ格段に扱い易くなっている。このGUIは1970年頃にゼロックスの パロアルト研究所で発明されたものであり、一般商品に採用し市場に送り出したのはアップル社であった。

 ビル・ゲイツは膨れ上がった「ビル・ゲイツ神話」を自らの手で演出しようとしているが、墓穴を掘るようになるのではないかと心配しているのは筆者だけではあるまい。


 大塚さんへメールはotsuka@giganet.net
 THINK JAPANへはhttp://www.thinkjapan.gr.jp/

1998年09月30日(水)萬晩報主宰 伴 武澄


 当初このコラムに書きましたKDDをもっと使えばNTT市内電話の値下げ圧力になるとの認識は間違いでした。Kimuraさんの文章の後に付記した筆者の見解の後半部分を削除します。お詫びします。訂正前のコラムはこちら。(10月1日午前9時50分)

 Kimura,Tamotsuさんから「通信費削減にKDDで市内通話を!」というメールをもらった。なんとも衝撃的な「ゼロゼロ・ワンダフル」である。読者のみなさんに紹介したい。


 前略。私は、所ジョージさんのCMでお馴染みのKDDは市外通話が安くなるものだとばかり思っていました。しかし、市内通話でも短時間(詳しく調べては いませんが48秒以内だと思います)なら6秒刻みの料金でNTTより安いことを知り、インターネットよりもE-Mailの送受信が多い私はメールの送受信 だけ行う時にはKDDを使ってプロバイダーに接続しています。

 これは、高校生の子供がポケベルを打つ時に何やら長いダイヤルを押しているので尋ね、分かったものです。請求書を見た実績ではポケベル1回当りの料金は 5円です。ポケベルの場合は、高校生のように今まで高い「授業料」を払って「早打ち」を習得している人に限られ、私のように文字への変換表を見ながらでな ければ打てないオジサンはNTTの3分10円の方が安くつきます。

 しかし、メールの場合は誰が送っても同じ時間ですし、通常個人が行う平均的な文章の送受信は送信2通・受信3通程度でだいたい20秒あれば可能ですか ら、KDDを利用すれば1回当り5-7円です。ただし、受信メールに写真なんかが添付されていた場合には通信時間が長くなってNTTの方が安かった、とい うリスクもあります。

 メールをする道具に20万円払って、通信費の3円5円を節約するのはナンセンスだというご意見も承知しておりますが、私は以前日本の携帯電話の不思議に ついてもそう考えましたように、日本の電話には多くの不思議があって、それを国民は当然のことのように受け止めて何の議論も盛り上がらないところにも不思 議があると考えています。

 通信インフラは情報の基礎ですが、日本ではその整備は評価できるもののコストが世界一と言っていいほど高く、これは個人がその恩恵に浴するのを阻害しているとしか言いようがありません。

 なぜNTTは3分10円という高額な料金設定なのでしょう。一部で200円の追加基本料金を払えば5分10円という制度を近く全国展開するようですが、 それにしても一日8時間つなぎっ放しにすると1ヶ月25日で2万4000円です。多くの国では昭和40年代以前の日本のように、1回つなげば切るまで1通 話の料金システムなのに、日本ではこんなに高額な料金になってしまいます。

 確かに、インターネットで得る情報は1ヶ月2万4000円以上の価値があるかも知れませんが、海外ではタダなのになぜ日本に住んでいるというだけでこんなにハンデがあるのか私は不思議です。こういう背景で、私はメールの送受信にKDDを使っています。(Kimura, Tamotsu)


 以上のようなメールをもらった。電話番号の上に「001」と「市外局番」をつけて、京都市内から infoweb の京都のアクセスポイントにつないでみたら、うまくいった。ダイヤルアップネットワークに「001」と「市外局番」を入れた「KDDinfoweb京都」 という接続アイコンをもう一つ作り、もう日に何度も使っている。日に多いときは5回は接続するから年間1500回×5円程度の経費節約になるはずだから小 さくない。いまから料金請求が楽しみだ。

 調べたところ、国内サービスの料金体系は他の国内電話料金体系が「10円で何秒」が単位であるのに対してKDDの場合、国際電話と同様「6秒で何円」と している。市内電話という分類はないが、市内通話にあたるのは「60キロまで」の分類で料金は「6秒ごとに1.1円」である。KDD以外は最低の料金が 10円だから、54秒(9.9円)まではKDDの方がNTTより安く通話できる計算である。


1998年08月31日(月)萬晩報主宰 伴 武澄


 08月29日「国際標準の名が泣く日本限定の「cdmaONE」携帯電話」には日本人が知らない世界の携帯電話の詳しい具体例をいただきました。以下紹介します。


 ●中国でも使える台湾の携帯電話って知っていますか
 いつも興味ある記事を読ませて頂き有り難うございます。今回の記事に関して、今更と思いご返事いたします。私は輸入の仕事をしており、度々ヨーロッパに 参ります。そこで他の地域のエージェンと一緒になります。必要があると、インドネシアやタイの人から彼らの携帯電話を借りて日本に電話をします。私の携帯 電話が日本を出たら何の役にも立たないものである事はとうに思い知らされております。

 台湾の携帯電話は中国でも使える事をご存知ですか?表面では波風も立っておりますが、実利の面では両者ともしっかりしております。役に立つ事はとうに実 行しております。知らないのは日本人だけではないでしょうか。高い電話料金を払い、しかも不便だ、なんて人を馬鹿にした話ではありませんか。日本でしか使 えない方式に拘って大きな物を失い、あるいは失いかけているのは携帯電話だけではありません。ハイヴィジョンなどその最たるものでしょう。国際化とよく口 にしますが日本の官僚は省益あるいはメンツのために見えるはずのものが見えないのではないかと思います。今後ともご高説楽しみにいたしておりま す。(ashizawa yoshinobu)

 ●日本でもローミング可能な香港テレコムの新しいシステム「1010」
 まったく同感です。私は海外によく出かけますが、日本の空港までしか使えない日本の携帯電話は旅行中にはただの重いプラスチックの箱と化し、邪魔になる だけで腹が立ってきます。最近、香港に10日間ほど滞在しましたが、GSM方式の電話機を日本の業者から高価なレンタル料金で借りて出発しました。レンタ ル料も通話料も高かったのですが、その電話機は国番号が86でしたので中国登録でした。

 中国での携帯電話の価格は今ここでわかりませんからそのレンタル業者がどれだけ儲けているのかわかりませんが、ご高尚の通り香港ではそれほど高価なもの ではなく、下から二番目の料金プランで月額HKドル300程度です。基本料にはプランに応じて最高通話時間が付帯しており、ユーザーはそれを超えた通話時 間分の料金を追加負担する仕組みです。

 簡単な暗算での試算では年間3ヶ月以上の滞在でトントンくらいです。しかも、香港テレコムの新しいシステム「1010」は日本でもローミング可能です。 これを契約して日本で使うとローミングの為に発信にも受信にも料金がかかりますからコストが高くなりますし、かける相手にも料金的な迷惑をかけますから実 際には使えません。しかし、海外に出る機会が多い諸氏には香港テレコムのこのシステムはオススメです。

 とにかく、日本の電話会社に世界観がないばっかりに国民が大きな損失を被っているのです。今問題になっている金融機関だって同じことが言え、外為取引の 手数料など最たるものです。円-米ドル取引の場合、邦銀は1ドル当り片道3円で国内シティバンクが片道1円の手数料ですが、香港のシティバンクでは片道 39銭でやってくれます。しかも国際フリーダイヤルでテレフォンバンキングできますから、融資を伴わない個人取引の金融機関に限って言えば、もう邦銀を利 用する必然性はどこにもなくなりました。毎日スーパーで買物した代金もクレジットカードで海外口座から決済できます。為替リスクが伴いますが、片道39銭 の手数料で外為を動かしていれば買物代金の為替変動差損など吹き飛ばせます。

 まだまだ日本には奇妙な部分が多く、私は実に不思議な国だと思っています。海外から見て奇妙な国だと思われるのは仕方ありません。ロシアで重大事態が起 こったり、円・株の東京市場が大幅安になっても国会での審議は一向に進展せず、単に与野党のメンツ争いに明け暮れています。

 産業空洞化の次は資本流出、その次は人材どころか国民が日本国籍を離脱して海外へ流出します。難民の国となる日がやってきてもおかしくありません。重税 を課し、介護保険を徴収し、それでいて住みにくくて幸せな人生など夢にも想像できないこんな国に住民登録していては一生の不覚ではないでしょうか。今後も 厳しい問題提起をお待ちしております。(Kimura, Tamotsu)

 ●世界を知っている日本人がなぜシステムに異議を唱えないか
 いつも興味深く読ませていただいております。携帯電話の問題、とても興味深く読ませていただきました。正直、日本はグローバルスタンダードという意識が少なすぎるのではないかと思います。

数年前、モトローラ社が日本の携帯電話市場、電波割り当てに意義を唱えた時、郵政省はNTT擁護に走り、結局、日本人はコストが高くて世界で使えない携帯電話を大量に持たされる結果となりました。

 GSMの話題が以前取り上げられていましたが、NTTグループ、郵政省は日本方式をくずさず、結局携帯電話市場の世界的ローミングと流れにみごとに乗り 遅れました。日本は携帯電話のデジタル化過渡期にPHS方式採用という愚行にでて、結局、PHSユーザーは携帯電話に乗り換えにはしり、PHS市場は惨敗 状態。

 来年、電話番号の大幅変更による、電話器のユーザーの電話器買い替えが起こることが予想されますが、これを機会に電波割り当ても含めて国際化できるような法体系に整備してぜひとも移行し、日本だけでしか通用しないような理不尽なシステムは辞めてもらいたいものです。

 日本が世界的な規格に賛同すれば、日本の携帯電話メーカーも国内、輸出向けで製品の使用を大幅に変える必要もなくなるので、開発費などのコストも押さえられるものと思われるのですが。

こういった世界スタンダードでなぜ日本だけが?というのが多すぎると思います。デジタルテレビかり。こういった話題、ぜひとも取り上げて欲しいです。

 あと、NTTに関しては電話料金がなぜ欧米並みに安くできないのか、取り上げてもらえませんか?

Internet とくアメリカ、カナダを含めた諸外国では市内通話は基本料金でカバーされており、Internetを一日中、使い続けても電話代が膨らむことはありません。また欧米ではISDN電話回線とアナログ回線の基本料金が同じなのに、日本はこれも割高です。

少し前に世界の電話料金比較なるものがニュースで取り上げられ、"日本はそれほど高くない"といった結果が出ていましたが、市内通話1分30円という点に は一切触れられず、諸サービスのみの比較(キャッチホンとか転送サービスなど)のオプション料金が比較されたものでした。

 これだけ国際化、海外旅行などで世界を知っているはずの日本人がなぜ、日本だけがおかしい、といえるシステムに意義を唱えないのか本当に不思議です。(ペンネーム モナカ)




1997年07月28日 共同通信社経済部 伴武澄

 NTT方式のデジタル携帯電話が国境を超えて使用できないのはもはや既定事実。世界100カ国に導入されてしまった欧州のGSM方式の勝利が固まったかに見えたが、ここへきて米国生まれのCDMA方式が俄然、巻き返しを図っている。

 世界の携帯電話市場ではここ数年、デジタル化が急速に進んでいるが、欧州全域で使うことを目的とし、英国で開発されたGSM方式が日米勢が海外展開に尻込みする間にアジアやアフリカ世界を席巻。事実上の世界標準の地位を固めた。

 昨年秋、ドイツテレコムのゾマー会長が東証上場のため来日、記者会見で自分の携帯電話を取り上げ「この電話は昨日、アイルランドでも通話できた」と自慢 したことは記憶に新しい。携帯電話の特徴は、地域を超えて通話できるローミング機能を持つことだ。同じ方式が採用されていれば、一つの電話機で国境を超え た利用ができるため、各方式とも先陣を競い合った。GSM方式の普及には、ノルウェーのノキア社とスウェーデンのエリクソン社の国際的な営業展開が功を奏 した。

 日本では、法律でNTTが国外での営業を禁止していたため、裏庭ともいえるアジア市場で、NTTとしてはGSM方式の相次ぐ導入に地団太を踏まざるをえなかった。

 ●米国で相次ぐCDMA方式の導入
 しかし、今年に入って米国で生まれたCDMA方式が強力な巻き返しに出ている。高音質と省電力を武器で、スプリントはじめ米国の半分の携帯電話会社が昨 年以降、相次いでCDMA方式を採用した。スプリントは既に6億ドル分の端末を韓国の三星電子に発注したといわれ、香港でもハチソン・ワンポアがCDMA 方式によるサービスを開始、GSMの一人勝ちだったグローバル市場に異変が起きた。

 世界の情報通信業界の最大の関心は中国。米国のモートローラ、ルーセント・テクノロジー、韓国の三星、LG両グループ、カナダのノーザンテレコムが参画、既に6市でCDMA方式による実験が始まっているからだ。

 ●三星は携帯端末でシェア拡大も
 もう一の注目点は、韓国が唯一、このCDMA方式を導入していて、三星電子など韓国勢が標準規格の巻き返しに一役買いそうな勢いにあるということだ。米国に続いて、中国でも本格採用となれば、端末開発で先行している韓国勢の世界市場でのシェア拡大は必至だ。

 韓国としても、米国のベンチャーであるクアルコム社が開発したばかりの新技術であるCDMAに不安がなかったわけではない。しかし、「GSMを導入したら技術優位にあるノキアやエリクソンに国内市場を席巻される」という恐れの方が強かったといわれる。

 日本でも携帯電話のデジタル化同様の危機感を持ち、独自方式を採用したという経緯がある。いずれにせよ韓国は「ギャンブルに勝った」ことになる。  CDMA方式が米中韓で主流となれば、GSMグループも安閑としてはいられない。NTT方式の優位を信じてきた日本も郵政省の審議会が遅まきながら「CDMA方式導入」を提言したおり、北部アジア太平洋地域に携帯電話の新たな世界標準が生まれる可能性も出ている。

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