書評: 2008年11月アーカイブ

『ソーセージ物語 ハム・ソーセージをひろめた大木市蔵伝』
(増田和彦著  2002年03月 ブレーン出版 四六判 1575円)

 日本のハム・ソーセージの歴史にはどうやら2つのルーツがあるようだ。一つは横浜、もう一つは徳島の坂東である。後者は第一次大戦でドイツ人捕虜を収容 した地。日本で最初にベートーベンの第九が演奏されたことでも知られ、捕虜たちがハム・ソーセージづくりを始め、その技術が徳島ハム(現日本ハム)に継承 された。

 横浜の方もドイツ人が関わる。横浜に居住する西洋人たちのためにハム・ソーセージ製造が始まった。ドイツ人技術者からハム・ソーセージの製造技術を伝授されたのは千葉の農家からやってきた大木市蔵という青年だった。
 『ソーセージ物語』はこの大木市蔵の生涯を描いた。外国人にハム製品を売るかたわら、東大生・農大生はじめ日本中に技術を教え歩いた。消費者に加工品の歴史と技術者・業界の努力を伝える書。

 日本特有の魚肉ソーセージがある。戦後の食料難の時代に登場した。大木は「ソーセージ」として認められないと反対したが、これが多くの国民に受け入れら れてしまった。日本各地で魚肉をペースト状にして揚げる「テンプラ」があった。これを腸詰めにしたのが魚肉ソーセージなのだが、肉のソーセージを食べたこ とのない子どもたちはその「まがい物」をソーセージとして受け入れてしまったのかもしれない。

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