雇用の最近のブログ記事


 前日の続きを書きたい。

 http://diamond.jp/articles/-/1956

 ジャック・アタリはまた 「利他主義」では「マイクロファイナンス」の重要性について語っていた。

 「現在、世界中に貧しい労働者が7億人います。貧しい国、地域には失業者はいません。失業は死を意味するからです。マイクロファイナンスは、貧しい労働 者に少額のお金を貸し付けて自立を支援する仕組みです。貧困対策は決して慈善事業ではありません。いろんな国で貧困が削減されることは、日本の利益ともな ります。たとえば、中国の貧困層が少なくなれば、もっと日本製品が売れるようになるでしょう。これも利他主義ですね。マイクロファイナンスを通じて貧困を 撲滅することが、日本にとっても重要なのです。日本は開発援助に関しては世界有数のレベルに達していますが、マイクロファイナンスに対する理解はまだま だ。世界中の貧しい人たちに補助金を配って歩く必要はないんです。マイクロファイナンスを活用すれば、少ないお金で非常に大きな効果が得られる」。

 マイクロファイナンスはバングラデシュのムハマド・ユヌス氏が30年以上も前に始めた経済の活性策の一つで、 雇用という概念のない同国において、小額の融資を通じて「自らの雇用を創出する」ことを目的としてスタートした。賀川豊彦も100年前に神戸のスラム街に 入って活動したときに貧しい人々にどうやって働く場をつくるかに頭を悩ました。

 今、日本の若者にとっても最大の課題は「雇用」である。企業が人を採用しなくなった。高度成長時代には次の成長のためにどんどん人を採用したが、昨今の企業はどうしたらデフレ時代に生き残れるかだけを考えている。経営のためにまず人員の削減が求められているからだ。

 ではどうしたらいいか。ここは原点に立ち戻って「雇われる道」を模索するのではなく、自ら「雇用を編み出す道」を探る必要があるのではないかと考える。 松下幸之助も本田宗一郎も起業家といわれる人々はすべて自ら「雇用を生み出した人々」なのだ。他人に依存することなく「食い扶持」を自ら創造した人々だっ たのだということを思い出す必要がある。

 北星学園大学経済学部の田渕直子教授も「JA教育文化12月号」に面白いことを書いている。2012年の国連協同組合年について「"国際協同組合年"と"地域"」と題した思いだ。。

 就活に悩む学生に対して、「自らの力で雇用を創れ」と言い、協同組合こそはそういう役割を担って誕生したのではないかと原点に立ち戻ることを提唱している。

「2012年国際協同組合年は、途上国の貧困撲滅を念頭に置いてはいるか、同時に失業という共通の病に苫しむ先進国への処方箋でもある。先進国の協同組合が、自分たちの力で、自分たちの地域に、公共事業に代わる仕事を創っていけるか、その真価が問われているのである」。

 共同通信という会社に30年以上身を委ねてきた自分自身に立ち返るとなんとも弁解のしようがないのだが、定年後には少なくとも自らの仕事を自らで探し出すことを模索していきたいと思っている。

 1年ほど前、ダイヤモンドのスペシャル対談で「勝間和代、ジャック・アタリと『日本の未来』を語る 」と題した対談があった。面白かったのは、キーワードが「利他主義」と「人口政策」だったことだ。

 http://diamond.jp/articles/-/1956

 人の問題に対してアタリが「経済成長のためには人口、貯蓄、技術革新、資源が必要です。この4つのリソースが西洋社会では賄えなくなってきて、移民に 頼っている。アメリカ、ヨーロッパでも技術革新は進んでいますが、実際にそれを担っている人たちは、ほとんどがよその国から来た人だちなのです」といって いた。

 日本経済の停滞が問題となって久しい。日本は技術力も資金もあるのに「なぜ」という疑問があろうかと思う。日本という国の国際化は日本人が海外に進出す ることだった。日本の国内に外国人を招くという発想はほとんどなかった。20年前、日本がバブルのピークを迎えて問題となったのは「労働力不足」だったの だ。外国人労働の可能性について大いに議論されたが、結局、日本は労働市場の門戸開放に踏み切れなかった。実は植民地を多く持っていた欧米諸国にとって労 働市場の開放は自明の理であったのだ。

 現在、日本では雇用が大きな問題となっているが、社会保障の分野では圧倒的な人不足が続いている。賃金の問題もあるが、雇用のミスマッチが依然として続いているということなのだ。
 ムハマド・ユヌス氏によるマイクロクレジットの講演から学んだことの一つは「雇用」という概念だ。ユ ヌス氏が強調したのは「バングラデシュには雇用がない」ということだった。バングラデシュの人々は、雇用がないから生活の糧を得るために自ら機織りをした り、ニワトリを飼って卵を産ましたりしなければならない。つまり生活をするために「自営」の"事業"をまず考えることからはじめなければならないのだ。

 いま大学生は来年3月の卒業に向けて就職活動に必死である。家業を継ぐ覚悟をした少数の学生以外はすべて「他力本願」である。定年を控えた中高年齢層も また、60歳以降の「雇用してくれる先」を捜している。同じく他力本願で、誰もなりわいを自ら創出するなど考えもしない。
 以前、台湾・香港・大陸に長年住んだ友人が中国人の商売について語っていたことを思い出した。「誰もがまず露 天商から始まり、小金を貯めて屋台を引く。屋台で成功した人が初めて店舗を借り、人を雇って事業を拡大する」。あまりにも当たり前の話に当時は「それがど うした」といった認識でしか受け止めていなかったが、これは重要なことなのだといまさらながら気付いた。

 考えてみれば農業などの第一次産業を糧としている人たちはみんな「自営」である。つまり農民がほどんどたっだ時代はみんな「自営」だったから、「雇用」 などという概念はなかった。商店で働くには丁稚、物作りの場合は弟子として職に就いた。まずは住み込みで食べさせてもらえるだけで感謝しなければならな かった。雇用のない時代に「雇用契約」などももちろんない。丁稚や弟子たちは叱られようが、殴られようが、我慢するしかなかった。

 昨年あたりから「貧困」が社会を描くテーマとなった。その場合は常に「働く場を失われた」といった表現が枕ことばとなる。本来、人間は自ら働く場を創出 してきたのではなかったのか。そんな疑問がふと頭をよぎるようになった。いまではよぎるどころではない。頭をほぼ占領している。

 会社勤めも残すところ2年となったいま、このまま「再雇用」を選択しないのならば、今のところ屋台を引くことしか考えられない。このまま他力本願を続けるしかないのか心が千々に乱れる。少なくとも屋台を引く覚悟だけはもって後2年を過ごしたい。(伴武澄)
  14日は群馬県大泉町にある日系ブラジル人学校「Gente Miuda」(ジェンチミューダ)の卒業式に招かれて出席した。財団法人国際平和協会が毎年秋に「東京遠足」をプレゼントしているご縁だ。全校170人余 の同校の卒業生は二十数人。幼稚園から中学まで年齢層はさまざまだが、日本と違って親子がフォーマルに着飾って晴れやかな式典だった。

 一方で、悲しい話もたくさん聞いた。大泉町は三洋電機と富士重工の工場があり、その下請け企業群も多く、早くから日系ブラジル人雇用に熱心だった地であ るが、100人単位での解雇情報が日系人社会を揺さぶっている。「Gente Miuda」の場合、来年の始業式に来ないことが決まっている児童・生徒が40人にも及ぶという。みんなブラジルに帰国する。
 日系ブラジル人雇用は法律の整備もあり、90年代初頭から急増した。日本に先祖があることが分かれば誰でも日 本で働くことができたが、最近では「二世ならいいが、三世はダメ」というように就労ビザの発給も厳しさを増しているから、いったん帰国すると二度と日本で 働けない人もいる。そういう事情を知ってか知らずか、日本で暮らしていけなくなったブラジル人の帰国ラッシュが始まっているのだ。

 華やかな式典の片隅でGente Miudaの先生の一人が寂しそうにつぶやいた。
「ここに出席している子どもたちはいい方なのです。衣装代や式典の負担金を支払えない子どももいるのですよ」
「浜松では日系ブラジル人のホームレスが現れて、キリスト教関係者が炊き出しをしているというニュースを知っていますか。私が住んでいる伊勢崎市にもいるんです」

 楽天的なブラジル人たちはあまり貯金をしない。車を買って住宅を購入した人もたくさんいる。このまま日本で定住を決意した人たちも少なくない。しかし、 就労の実体は「派遣」のまま。これまでは派遣であっても一生懸命働けば、普通の日本人並みの生活を楽しむことができたが、アメリカ発の経済危機が急速に日 本経済に襲いかかっていて、真っ先に仕事を失うことになっているのだ。

 解雇されて、ブラジルへ帰国するチケットを買える人ばかりでない。解雇されて家を失い、帰国できない人たちが駅前での生活を余儀なくされている。親子連れのホームレスが出現したという情報もある。

 一番悲しかったのはある小学生の話である。家庭での会話から、親が金に困っていることを知って、放課後に自動販売機をまわり、忘れた釣り銭を集めていた。5000円ほど貯まったところを父親に知られて、生活費のために親に貸しているのだそうだ。(伴 武澄)

 日系ブラジル人大量解雇 一時帰国は片道チケットで (朝日 08.11.18)
 外国人ホームレス増加の兆し(2008年11月22日 朝日新聞)

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