特定という名の暴挙-特定秘密保護法案

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 自民党は衆院で特定秘密保護訪韓を強行可決した。採決の仕方が暴挙であるのではない。法案そのものが暴挙なのだ。

 近代国家の基本は国民主権であろう。国家が暴走しないために憲法を定め、発言の自由や出版の自由などをうたっている。国家は常に国民に知らしめないよう秘密を保持じてきたが、近代国家は基本的に情報を公開するよう求めて来た。

 特定秘密保護法案は時代に逆行する法律といっていい。まさに国民に牙を向ける法律なのである。その一点で成立させてはならない法律であると訴えたい。

 この法律の問題は多くある。まず守るべき「秘密」が法案で「特定」されていない。何を誰のために「保護」するのか基本的なことが書き込まれていない不可解な法案である。

「行政機関の長」が特定秘密を決められるというのもおかしな制度だ。国家機密をいうならば今でも多くの法律がある。屋上屋を架した上に罰則を強化したものと考えざるを得ない。

 特定秘密には「テロリズムの防止に関する事項」がある。アメリカでは「テロ容疑」という罪名で多くの人々が不法逮捕されている。3.11以降、アメリカは国民の基本的人権を失った危険な国家と成り下がっている。反原発や反TPP運動でさえ、「テロ」とされかねない。

 それから法案の「日本語」もおかしい。「保護」という日本語には子どもやお年寄り、障害者など弱者を守る意味合いしかない。国家を保護するという言い方にこそこの法案の持ついかがわしさを象徴している。

 法案に反対してきた弁護士の清水勉氏は高知新聞のインタビューで面白いことを言っている。
「何か起こった時、急きょ指定を解除しなきゃ、ということを起こりうる。たとえば、北朝鮮が核実験をする、という内部情報を得たとします。最初は特定秘密でも、北朝鮮をけん制する意味で米韓と連携し、公表することもある。その時にどうやって指定を解除するのか。他国で公表された情報が、日本だけは特定秘密のまま、という状況も起こり得るわけです。防衛も外交も、他国抜きでの対応は考えられません」

 つまり、この法律が成立すると自分で自分の首を絞めることにもなりかねないということだ。

 結論的に言うと日常、行政を担うのは官僚である。民主党が瓦解したのは官僚たちが情報を大臣に揚げないなど多くのサボタージュが起きたからだと思っている。福島原発事故の際でさえ、官邸は情報不足に陥っていた。官僚たちは国家の危機に際しても情報を秘匿する体質を持っているのである。

 その官僚たちにこの法律を与えたらどうなるのか。今でさえ、大臣に重要な情報を伝えない。この法案が成立すると、官僚たちは国会議員に「特定秘密」を楯にかざすことだって十分考え得る。

 阪神淡路大震災の時、自衛隊の初動が遅れたのは、内閣の官僚たちが村山富市首相に対して「兵庫県知事の要請がないと自衛隊の出動はあり得ない」と「入れ知恵」したからである。

 日本の霞ヶ関の官僚という存在を侮ってはならない。この法案の成立でほくそ笑むのは彼等であるはずである。安倍晋三さん、いつまでしたり顔で「官僚政治」を続けるつもりなのだろうか。石破幹事長も同じである。

 そのうち、あなた方にも情報が伝わらない事態が生じるかもしれない。この法律は官僚のための法律であるのだ。官僚たちが「特定」と名の付く法律をつくる場合、ろくなことがないことは肝に銘じておく必要がある。

 特定秘密の保護に関する法案全文

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このページは、伴 武澄が2013年11月27日 10:09に書いたブログ記事です。

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