防衛施設庁談合事件等に思うこと(その1)

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2006年02月15日(水)
太田 述正
 1 始めに

 以前(コラム#1055で)「私のコラムの読者・アクセス数が伸び悩んでいるのは、軍事の重要性とか日本が米国の保護国であるとか、自民党が構造的に腐 敗しているとか、気にはなるけど不愉快な話題をよく取り上げているからではないか。」と述べたところですが、もっとはっきり言いましょうか。私のコラムの 読者が自分自身の醜さを直視させられるからです。

 しかし、このところ、ブログへの週間アクセス数は、記録更新が二週続き、その勢いはなお止まっていません。急にマゾの人が世の中に増えた、ということなのでしょうか。(その一方、コラムの購読者数は目減り傾向が依然続いています。)

 とまれ、今回は、読者の皆さんの「醜さ」にズバリ切り込むことにしました。

2 あなたは昨年の総選挙で自民党や元自民党議員の候補に投票しましたか?

 イエス、と答える人がこのコラムの読者にも多いはずです。(海外にいらっしゃる読者は、日本の特定の選挙区に住んでいたとすれば、誰に投票したか、胸に手をあててお考えください。)

 その皆さんにお聞きするが、防衛施設庁談合事件で逮捕され、恐らく厳しい判決を受けることになる河野さんら3人は、当然の報いを受けた、とお思いですか。

 これにも、イエスと答える人が多そうですが、私に言わせれば、それはおかしい。

 自由民主党は、役所と業者との癒着のスキーム(天下りスキーム)と持ちつ持たれつの関係にあるからです。つまり、自民党をぶっつぶさない限り、このスキームを完全に解消することは困難なのです。

 持ちつ持たれつの関係とはいかなるものか。

 官需の調達に入札がからむケースにおいては、この天下りスキームは、談合システムの不可欠な一部分を占めています。

 官需の入札では、ほとんどすべて、談合で受注者が決まります。

 国や地方の役所(関係団体を含む)のOBが天下っている業者は、日本の全ての業者(A)の部分集合(B)です。他方、(党そのものではなく特定の)政治家に献金したり集票したりしている業者(C)もまたAの部分集合です。BとCは部分的に重なり合っています。

 役所は、Bの業者に、その受け入れ天下りOB数に応じて、官製談合によって官需を割り振っていきます。その一方で役所は、天下りOBがいない業者同士が 行う談合(民民談合)を黙認します。民民談合の仕切り役は、特定の業者であることが多いのですが、政治家の息の掛かった人が務める場合もあります。

 上記政治家達・・国会議員にあっては、そのすべてが自民党議員か元自民党議員なので自民党と言い換えても良い・・は、上記(天下りスキームを含むところ の)談合システムの存在を認識しつつ、このシステムの安定的維持を図るという役割を担っています。そのことによって、自民党は、官僚機構という巨大な利益 擁護団体に奉仕しているわけです。

 これに加えて、個々の政治家が動く場合もあります。民民談合の中で、仕切り役による官需割り当てに不満があり、受注したい(受注を増やしたい)のだけれ ど、役所のOBを(更に)受け入れるつもりのない業者が、政治家に陳情すると、今度はその政治家は役所に対し、この業者について、入札の際に指名する(指 名を増やす)ように「陳情」します。役所は、この企業を特別に指名することによって入札への参加実績をつくり(増やし)、民民談合の中で優先的に将来受注 できるように取り計らうことによって、「陳情」に答えるのです。当然、この業者のこの政治家への献金額は(少なくとも一時的に)増加します。

 では、自民党議員の中で、この種「陳情」を行わない人はどれくらいいると思いますか。

 私の直接的経験と、信頼のおける友人・知人の話を総合すると、私の防衛庁在職時には、地方選出議員に関する限りほとんどいなかった、と言えます。

 この状況は、今でも基本的に変わっていないでしょう。

 ですから、2月1日の国会で、1998年の「防衛庁調達実施本部を舞台にした背任事件で、参院での問責決議を受け防衛庁長官を辞任している」額賀福志郎 防衛庁長官(茨城2区選出の衆議院議員)が、答弁で、98年の事件を機に防衛庁の調達実施本部解体やチェック体制強化に取り組んだと説明し、防衛施設庁に ついて「問題を自らの問題としてきっちりと消化されていなかった。

 「施設庁は占領軍時代の特別調達庁として発足し、ある意味で特権意識を持っていた。その中に不正の温床があった」と指摘した、という記事(http://www.asahi.com/politics/update/0201/004.html。2月1日アクセス)を見て、そのあまりの鉄面皮さに怒るのを通り越して笑ってしまいました。

 ところで額賀さん。あなたは調達実施本部の事件で防衛庁長官を辞任した後、内閣官房副長官に返り咲いていた時に随分高圧的な物言いの電話を防衛庁にかけ てきたことがありますよね。あわてて、(現在の河野さんの何代か前の)施設庁技術審議官があなたのところにかけつけたのでしたね。聞くところによると、そ れは、少なくとも談合防止の話ではなかったらしいじゃないですか。

 さて、読者のうち、昨年の総選挙で自民党や元自民党議員の候補者に投票した皆さん。皆さんは、まぎれもなく、日本の談合システムの存続に力を貸したのです。

 河野さん達のこのシステムからの足抜けがいかに困難であったかに改めて思いを致し、不運にも逮捕されてしまった彼らに一掬の涙を流してあげてください。

3 あなたはマジに談合が悪いと思っているのですか?

(2月1日付、太田述正コラム#1067から転載)
(続く)

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このページは、伴 武澄が2006年2月15日 13:45に書いたブログ記事です。

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