沖縄電力に匹敵する神鋼の発電事業の能力

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1999年07月20日(火)萬晩報主宰 伴 武澄

 先日、神戸製鋼所のアルミ事業担当の役員から、オーストラリアの電力料金は1キロワット時=1円だと聞いた。カナダでも同じらしいのだが、日本の10分の1だそうだ。もちろん工業用である。

 アルミ事業は電力のかたまりである。日本は国策として1960年代に国内でのアルミ精錬を目指した。財閥系列ごとに精練会社が生まれたが、結局80年代にギブアップした。自前の水力発電を持つ日本軽金属の蒲原工場以外、日本ではアルミ精錬はなくなった。

 1980年代前半の円の価値は今より安く、1ドル=250円前後だったから、当時でも日本とオーストラリアの電力料金の差は5倍はあっただろう。

 アルミ精錬からの撤退が日本にとって正しい選択だったことは、プラザ合意以降の円高をみれば分かる。エネルギー資源を持たない日本の電力料金が高い仕方のないことだと長いこと考えられてきたが、どうもエネルギー源の輸入だけがその原因ではないことが分かってきた。

 ●神戸の半分の需要をまかなえる神鋼

  通産省もようやく電力事業の自由化に重い腰を上げた。1995春からの電力事業の自由化をきっかけに発電事業に他業種から多く参入の声が上がっている。神 戸製鋼所は、70万キロワットの火力発電所を2基建設して2001年から販売を開始することを決めた。都市に立地する大型発電所の建設は久しくなかった。 なかでも神戸製鋼所の火力発電は最大規模である。

 神戸製鋼所が電力をつくり、関西電力に販売するいわゆる電力卸売り業である。業界ではIPPという。その卸売り業が顧客に直接販売できるスキームもことしできた。来年から導入され、ようやく電力業界にも競争の時代がやってくる。

 まず神戸製鋼所の140万キロワットという規模である。大型の原子力発電所1基が100万キロワットであるから、その程度と思われがちだが、実は沖縄電力の総発電能力に匹敵するから、並大抵でない。

 沖縄電力の総発電能力は144万キロワット。3カ所の火力と2カ所のガスタービン、さらには離島に14カ所のディーゼル発電をしている。これで県民80万人の電力需要をまかなっている。

 神戸製鋼所の140万キロワットが稼働すれば企業向けを除いた150万人の神戸市の半分の需要をカバーできる計算だ。

 エネルギーの分野は、発電規模やら投資金額やらがとてつもなく大きく、われわれ素人にはなかなか分かりにくかった。だが、ひとつひとつの発電所の能力とそれを使う側の人口規模がわかれば、そのコストがおおまかにつかめるのではないかと思う。

 神戸製鋼所の発電能力が沖縄電力のそれに匹敵するという話は最近聞いた。うそだと思って実際に調べてみると話にうそはなかった。

 ●日本の電力料金の半分は送電コスト

  神戸製鋼所が神戸に発電所をつくるメリットはまず、土地代がいらないということである。次に消費地に近いことだ。われわれが支払う電気料金の半分は遠隔地から電気を運んでくる送電コストである。遠いところだと電気そのものの価格とほぼ同等であるから、消費地のすぐ近くで発電すればコストは半減する。

  余談だが、何年も前に、東京電力が100万ボルトの送電技術の完成を自慢していた。遠距離送電には欠かせない技術だとされ、世界ではロシアにしかない技術 だといっていた。なんてことはない。後で分かったことだが、発電所と大消費地が何百キロも離れているのは日本とロシアだけだった。

  発電所を大都市圏の持ち込むと環境問題が発生すると異常反応する向きもあろうが、今どきの発電所にそんな心配はほとんどない。とにかく東京電力など既存の 電力会社は消費地の近くに土地を持っていないが、鉄鋼などリストラが進んだ素材産業は遊休地の活用に四苦八苦しているのが現状だ。

 その遊休地を利用できる素材産業に電力をつくってもらえば、日本の電力需給の将来は安泰だし、送電コストもほどんどかからないということになる。

  問題は総投資額である。当初2500億円とされたが、最近のこの投資額を500億円圧縮すると発表した。とまれ、技術が数年で進んだわけでもないのに、なんで500億円もスリム化ができるのか。筆者の勘ではあるが、ウオン安の韓国企業に発注すれば、さらに半額になるのだと信じてい。(続)

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このページは、伴 武澄が1999年7月20日 09:23に書いたブログ記事です。

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