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『地球にやさしい』というフレーズ

2008年06月09日(月)
萬晩報通信員 松島玉三郎
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● 不定期刊くたじゃ報  52号 (2008年6月発行)
   『地球にやさしい』というフレーズ / 松島玉三郎  ●

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  現在私が勤めている会社では、全社員に
  交代で、「環境問題について」のコラムの
  ようなものを書かせて社内ネットワークの
  掲示板に載せる、ということを強引に
  やらせてます。
  多くの社員が、身近にできる省エネ方法、
  のような事を書いてる中で、私が書いてみた
  コラムを、試しに「くたじゃ報」でも発行して
  みることにしました。以下転載。

環境問題を考えるときに、かならずと言ってよい
ほど浮上するキャッチコピーがありますね。
『地球にやさしい』というフレーズがそれです。
90年頃から、盛んに使われ始めた言葉です。
環境問題を扱うNPOなどの「草の根」の方々から
出てきた言葉というより、どうも「企業イメージを
上げるために広告代理店が作り出 した」言葉、
という印象があります。

ところで、この『地球にやさしい』というフレーズ、
おかしいと思ったことはありませんか?
『地球にやさしい』と言うからには、地球にとって
迷惑にならないように行動する、ということを指している
と思われます。ですが、住環境、ひいては地球環境を
悪化させる ということは、本当に地球に迷惑なこと
なのでしょうか?
地球の年齢は、およそ45億年前後と推定されています。
そして考えてもみて下さい。地球が生まれてからの
長い年月、とても人間など住めない時期が何億年も
繰り返されたのです。酸素はほぼ存在せず、海は形成
されたけれど、いつも嵐のようにあらぶり、空には稲光が
続いていた時代。あるいは、地球のかなりのエリアが
氷河に覆われていた時代。大気が今のような形態に
安定する以前は、地球自体の保温効果があまり確保されず、
昼間と夜の気温差が100度以上あった時代(ちなみに大気の
ない月面は、昼と夜の気温差が300度以上あります)・・・

これらの時代、地球は何らかのことに困っていたのでしょうか?
そんなことはありません。
地球は、どの時代も、ただそのように存在し、ひたすら
自転と公転を繰り返していただけです。

現在のような環境が保たれないと困るのは地球ではなく、
我々人間なのです。もちろん、他の生物も困るけれども、
今現在もほぼ酸素のない環境でも生きている生命体や、
極寒の気温でも生きている微生物がいることを考えれば、
『地球にやさしい』というフレーズは、ほぼ人間のための
ものであると言ってよいと思います。

私が初めて『地球にやさしい』という言葉を聞いた
ときから、ずーっと感じている違和感は
「・・自分たちが住みやすい地球環境を守ろうとするのは
良いことだが、それをあたかも地球のために何かをして
あげるという言い方にするのは傲慢ではないだろうか?」
ということです。
そう、『地球にやさしい』はすぐれて自分勝手な言い方です。
しかしこのフレーズが登場したからこそ、エコロジーとい
概念念が市民権を得たと言える。草の根市民運動の領域から、
一気に各種媒体がほめそやす言葉に引きずり上げられました。
広告代理店が関わったものは、マイナー領域には留まれない。
この極めて広告代理店的な『地球にやさしい』が人々に
「環境問題を考えない人は遅れてるよ!」と脅しをかけたのです。

一体いつ頃から、この『地球にやさしい』は登場したのでしょうか?

私が初めて『地球にやさしい』というポスターを大々的に
見たのは、91年の春、ダイエー本社の販売促進部のような
部署のフロアでした。これからの小売業のモットーはこれだ!
というニュアンスの掲げられ方でした。

実際に『地球にやさしい』はいつ頃から登場した言葉なのか、
調べてみようと思いました。調べ始めたら、すでに調査していて
掲載しているサイトがあったではありませんか。
この『「地球に謙虚に」運動』というサイトです。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~kenkyoni/undou.html

このサイトの調査によると、89年の朝日新聞に初めて登場、
90年には「環境白書」に使われ、91年に一般に定着した、
ということになります。私がダイエーで目にしたのと同時期です。

このサイトの考察でとりわけ興味深いのは、
『地球にやさしい』は英語 Environmentally Friendlyの
和訳として登場したと思われ、さらにそれはドイツ語
Umwelt Freundlich の英語訳であるという点です。
そして、そこまで遡ると、このドイツ語はいきなり
地球を対象にしているではなく、身の回りの環境に対して
言っている言葉であり、しかも「やさしく」というよりは
「謙虚に」というニュアンスを持った言葉らしいのです。
私がかねがね思っていた『地球にやさしい』は、
やはり不遜な言い方だったのです。

そして私は、この環境問題が盛り上がりつつあった90年の夏に、
ブラジルのアマゾンから日本に来ていたインディオのジョゼさん
に私が言われた言葉を思い出しました。
「アマゾンの熱帯雨林の心配をするより、
自分のまわりでできることをやりなさい」

このように、『地球にやさしい』はいささか不遜な言い方だけど、
エコロジーという概念を定着させたことは評価せざるを
をないです。だから、本当はこれに代わる素晴らしい
キャッチコピーができるといいと思います。
私もつねづね考えてきたのですが、なかなか良い
キャッチコピーを思いつきません。
2000年代に入ってからLOHAS(ロハス)などの言葉も
登場してますが、分かりやすさとして決め手を欠きます。
いざ作ろうとすると『地球にやさしい』は潔さにおいて、
よくできたコピーなのです。
私はこれからも新しいキャッチコピーを考え続けますが、
皆さんもよかったら考えてみてくれませんか?

●オマケ
環境問題がサミットのまな板に乗るようになったのは、
『地球にやさしい』という様相ではなく、
90年代からの新しい「国際関係におけるかけひき」
である事を指摘した平岩優氏のコラムも紹介しておきます。
http://www.yorozubp.com/0805/080526.htm

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 『まくわうりジャム』は、まだ売ってますよ!!

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昨年9月末に発売いたしましたCD『まくわうりジャム』は
いまみちともたか(元バービーボーイズ)、安部OHJI(元PSY・S、
現在R・O・M・A)、「くじら」初期メンバー(杉林、キオト、楠)
などなどというメンバーに私も参加して繰り広げた即興ライブ
を収録した、まことにけったいなアルバムです。
ノーチラス・レコードさんで委託販売しておりますが、
このたびノーチラス・レコードさんで、さらに紹介ページを
作ってくれました!!
http://www.lsp-n.com/content/view/62/
松島がエラソーにアルバムの説明をしてますので笑ってください。
なぜ、ジャム・シリーズのアルバム・ジャケットはかわいい感じの
イラストなのか、というナゾも解けます。

『いちじくジャム』『ざくろジャム』『まくわうりジャム』
いずれもまだ売ってますからね!
買ってくださいね、ぜひノーチラス・レコードさんで。

編集責任 松島弘  kutaja@parkcity.ne.jp
くたじゃ報     http://www1.parkcity.ne.jp/kutaja/kutaja/

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