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伴正一遺稿集

 仏子園のごちゃまぜ福祉
                   2018年01月24日(水)
                   萬晩報主宰 伴 武澄

 一昨年10月15日、石川県白山市の行善寺で社会福祉法人、仏子園本部の開所式があり、石川県に行ってきた。日本のどこにもないだろうという保育園で子どもたちが足踏みゴーカートを乗り回していた。真ん中の庭には大きな木が植えてあり、子どもたちが木登りに余念がない。この保育園では「子どもがけがをすること」を親に認めさせている。滑り台は三人が同時に滑ることができるほど幅を広くしてある。 何を隠そう、この保育園は障害者施設を併設している。知的障害者の中には「待つ」ことが理解できない子どももいるから、そんな滑り台になっていることに合点がいった。

 本部のある建て屋には温泉がある。集落の住民は無料で入浴できるのだ。広い畳の居間はちょっとしたレストランだ。風呂上がりの人たちがビールを楽しむ。蕎麦と天ぷらが好評だ。仏子園の別組織、日本海倶楽部で障害者たちが醸造したビールが提供される。そばはブータンで栽培したソバを輸入し、障害者たちが蕎麦打ちしたものだ。隣の畳の大部屋は高齢者のデイ・サービスが行われている。

 そう、ここの施設には温泉を中心に障害者、高齢者、子どもと地域住民が時間を過ごす場が設定されていて、それぞれのサービスに垣根というものがない。 雄谷さんはそれを「ごちゃまぜ」という。

「ごちゃまぜ」の発想は2008年、隣の小松市の西圓寺で始まった。廃寺となった寺の活用を住民から依頼されたのがきっかけだ。温泉を掘った。障害児たちが働く場が生まれ、集落の理解を得ながら、西圓寺は社会福祉施設+集落の交流施設に発展した。驚くべきことに周辺の集落で人口が目減りしていく中で、この集落だけは人口が増えつつある。

 雄谷さんは「交流人口」という言葉をよく使う。福祉関係者にはそれまで全く無縁の言葉だった。

 昨年は金沢市に「シェア金沢」を開設した。有料高齢者住宅の町である。もちろん障害者が住む住宅があり、家賃を安価にする代わりに週30時間のボランティアを義務づけた学生向け住宅がある。ユニークなのはアトリエ付きの借家もあり、現在二人の芸術家の卵が入居している。

 ここにも「ごちゃまぜ」の精神が生きている。 安倍政権は「日本版CCRC」ということを言い出している。アメリカで生まれた言葉で「Continuing Care Retirement Community」の略。 直訳すると「継続的なケア付きの高齢者たちの共同体」。仕事をリタイアした人が第二の人生を健康的に楽しむ街。元気なうちに地方に移住し、必要な時に医療と介護のケアを受けて住み続けることができる場所を指す。

 政府は「シェア金沢」を日本版CCRCのモデル地区に指定したが、雄谷さんはそうは考えていない。高齢者だけが住む町ではなく、「すべての人」が住む町だからである。

 一昨年12月から、輪島で「Kabulet輪島」が始まった。コンセプトは似ているが、青年海外協力隊のOBたちに担い手になってもらおうというところが大きな違いだ。雄谷さんの事業は新しい施設をつくる度に新しいコンセプトを導入してきた。そして今後も導入していく考えだ。現在、協力隊OBを担い手とする事業として、宮城県岩沼市、岩手県遠野市、広島県安芸太田町、鳥取県南部町で新しい町づくりに取り組んでいる。




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